白内障手術後の見え方が不安な方へ|注意すべき症状や合併症について解説

白内障手術後の見え方が不安な方へ|注意すべき症状や合併症について解説

2025.07.04

白内障手術後の見え方が不安な方へ|注意すべき症状や合併症について解説

白内障手術後の見え方が不安な方へ|注意すべき症状や合併症について解説

この記事の監修者

 
白内障手術後の見え方が不安な方へ|注意すべき症状や合併症について解説
大内雅之アイクリニック 院長 大内雅之

2018年大内雅之アイクリニック開設。
眼内レンズ手術(白内障・ICL)手術専門クリニックとして、
総手術件数は25,000件以上。
疾患や治療の説明を端的に、分かりやすくお伝えする啓蒙・修練の場として、メディアへ出演や、数多くの論文・著書の実績も持ち、指導的立場で臨床にあたる。2022-23・2024-25ベストドクターズ、2期連続で選出され、多くの医師からも支持を受けている。
「担当医の顔が見える医療、術前から術後まで執刀医による一貫した診療」にこだわり、患者様がいかに快適に人生を楽しめるか(QOL)を追求し続けている。
東京医科歯科大学 特命教授、北海道大学 非常勤講師、
日本白内障屈折手術学会理事、日本眼科手術学会理事

白内障手術を控えている方、もしくは手術を終えたばかりの方にとって、術後の見え方や日常生活の過ごし方に不安を抱くことも少なくないのではないでしょうか。
実際に、「見え方が変」「まぶしい」「ピントが合わない」といった違和感に戸惑う方もいらっしゃいます。
本記事では、術後の正常な経過と注意すべき異常のサイン、術後の生活で気をつけたいポイントについて解説します。
ぜひ安心して回復期間を送るための参考にしてみてください。



白内障手術後の見え方|これは正常?異常?



術後の見え方が普段と異なると不安を感じるかもしれません。
ただし、違和感を感じるからといってすべてが異常というわけではありません。
中には手術後に一時的に現れる自然な変化も存在するのです。
大切なのは、見え方の変化が順調な回復の範囲内か、それとも医師に相談すべきなのかを見極めることです。
それでは、手術後の変化や違和感についてこの章で詳しく見ていきましょう。



手術直後によくある見え方の変化(ぼやけ・かすみ・まぶしさ)

白内障の手術を受けた直後は術前に比べて光がこれまでとは違った眼の中への入り方をするため、光がにじんだり、光をまぶしく感じることが多くあります。
このような状態は、眼内の炎症や涙や眼の表面のコンディションが変化した影響とされており、数日から1週間ほどで自然に落ち着くケースがほとんどです。
医師から指示された点眼治療を続けることで症状は次第に軽減されていくので、落ち着いて経過を観察しましょう。



手術後の経過と「正常な症状」の目安とは

手術は、けがと同じですので、その回復期間には、一時的に軽いかすみや異物感、目やにの増加などの症状が現れることがあります。
しかし、これらの症状は白内障手術後の自然な反応とされ、1週間ほどで徐々におさまるケースがほとんどです。
視力も安定に向かい、明るさやピントの合いにくさなども時間の経過とともに改善される傾向にあります。
ただし、症状が日に日に強くなる場合や、視力の低下が続くようなケースでは、早期の受診が必要です。
判断に迷った際は、遠慮せずかかりつけの眼科へ相談しましょう。



こんな場合は注意!異常が疑われる見え方とは

手術後に起こる視力の低下や視界の異常の中には、緊急性の高いケースも含まれます。
たとえば、強い痛みを伴った急な視力の悪化や、黒い影が常に見えるといった症状は、網膜剥離や感染など深刻な疾患を知らせるサインの可能性があります。
さらに、ものが二重に見える、どれだけ時間が経ってもピントが合わないといった症状も、レンズのズレや眼圧異常が疑われます。
また、手術後に日常生活を妨げるほどまぶしさを強く感じる場合も、対応が必要な場合があります。
どの症状も、自然に治るとは限らず、放置すると視力に重大な影響が及ぶ恐れもあります。
違和感が続く際は、自己判断を避け、できるだけ早めに眼科で診察を受けましょう。

白内障手術後の生活で気をつけたいこと



白内障手術後の日常生活には、いくつかの制限や注意点があります。
ここでは入浴や運動、運転など、手術後によく疑問に思われる場面について、注意すべきポイントを解説します。



白内障手術後の入浴・洗顔・洗髪はいつから?

手術後3日程度はシャワーのみが基本とされており、石鹸やシャンプーなどで髪や顔を洗うことはできません。
水や石けんが目に入ることで、感染リスクを高める恐れがあるからです。医師の許可が出るまでは控えましょう。
洗顔は濡れタオルでやさしく拭く程度にとどめ、頭を洗う場合も美容室などで後ろ向き洗髪を利用すると安心です。
また、目の周辺を触る前は必ず手を清潔にしてください。清潔を保ち、刺激を避けたケアが回復への近道です。



運動や仕事復帰の目安と注意点

白内障の手術後は、目の状態が安定するまで無理な行動を避けましょう。
軽い散歩や家の中での移動は手術の翌日から可能とされることが多いものの、運動量の多い活動や重い荷物を持つ作業は、1週間くらいは控えたほうが良いでしょう。
血圧の急激な上昇は合併症の原因にもなりかねません。
仕事への復帰も、デスクワークなど、清潔な環境での職種であれば翌日から再開可能ですが、肉体労働や屋外作業など体への負荷が大きい業務、顔や手が汚れる仕事に関しては、主治医の判断を仰ぎましょう。
同様に目に汗が入るような環境や粉塵が舞う場所も、感染や炎症のリスクを高めるため十分な注意が必要です。
眼科医の指導を参考にしながら、徐々に日常の動きを取り戻していきましょう。


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車の運転はいつから可能?視力基準も解説

白内障手術後に車を運転するには、視力が安定し、明るさやピントの調整が問題なく行える状態でなければなりません。
多くの場合には、両目で0.7以上の視力が出ており、視界にかすみや二重像がない場合に運転が可能と判断されます。
ただし、視力が数日で回復する人もいれば、眼内レンズに慣れるまでに1〜2週間かかる人もいます。
まぶしさを感じる状態での無理な運転は危険です。特に夜間の運転では、光のにじみやまぶしさが強く出やすいため、先ずは昼間の運転から始めて、夜間の運転は慣れてからにしましょう。

白内障手術後によくある悩みと対処法



手術が終わったあとも、視界の違和感や焦点の合いづらさが続くことで心配になる方はいらっしゃいます。
これらの症状は一時的なものもあれば、対応が必要なケースも含まれます。
ここでは、実際に多くの患者が訴える悩みと、考えられる原因や解決策について解説します。



ピントが合わない・二重に見える原因と解決策

手術後にピントが合わず、ものが二重に見える現象は、眼内レンズの調整や脳の視覚処理が安定していないことが関係しています。
特に、片目だけ手術を受けた場合に、もう片目の手術を受けるまでの期間、左右の目の焦点にずれが生じ、違和感が強く出ることがあります。
眼内レンズに慣れるまでの期間には個人差があり、数日から数週間かけて自然に改善されることも少なくありません。
ただし、レンズが正しい位置に固定されていない場合や、乱視の影響があるときには追加の処置が必要になることもあります。
継続的な見えづらさがあるときには、遠慮せずに眼科で診察を受け、視力の状態を詳しく確認してもらうことが回復への近道です。


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まぶしさやかすみが長引くときの対処法

手術後に光がまぶしく感じる、あるいは視界がかすんだまま改善しないといった悩みは、手術後によくある相談内容の一つです。
眼内レンズを入れると、これまでより光がダイレクトに目に届きやすくなるため、光に敏感になることがあります。
また、目の内部に軽い炎症が残っている場合にも、かすみや違和感が続くことがあります。
多くは、点眼治療を継続することで徐々に症状が和らいでいきますが、数週間以上経過しても改善が見られない場合は、後発白内障や眼底の異常など別の原因が考えられます。
強い不快感や視界の悪化が続く際は、早めの診察を受け必要な処置をとることが大切です。



レンズが合っていないと感じたらどうする?

白内障手術後に「見え方が想像と違う」と感じた場合、眼内レンズとの相性や度数のずれが原因が考えられます。
特に、遠くにピントを合わせる単焦点レンズを遠くに合わせて選ぶと近くが見えづらくなるため、不満を感じやすくなります。
また、焦点が合いにくい感覚が続く背景には、乱視の影響や、もともとの視力との差が大きいことが影響している可能性があります。
眼内レンズの交換が可能なケースもありますが、手術から時間が経つほどリスクが高まるため、基本的には眼鏡の併用や視力矯正で調整することがほとんどです。
手術後1カ月程度の時期には視力が安定し始めるため、改めて視力検査を行い、見え方に合った眼鏡を処方することで、多くの不満は解消されます。
その後も不快な見え方が続く場合は、我慢せず主治医に相談しましょう。

白内障手術後に注意したい合併症と後発白内障



白内障手術は安全性の高い治療として知られていますが、まれに手術後にトラブルが発生することがあります。
特に後発白内障、感染症、眼圧の変動などの存在を知っておく必要があります。
ここでは、発生頻度の高い合併症とそれぞれの対処法について紹介します。



後発白内障とは?症状と治療法

後発白内障とは、手術で水晶体を取り除いたあとに、眼内レンズを固定するために残す嚢(のう)の部分に、細胞が生えてきて濁ることを指します。
白内障手術のあと数カ月から数年が経過してから、視界が再びかすみ、再び白内障のような見えにくさが生じます。
視力の低下やまぶしさ、文字が読みづらいといった症状が出てくるのが特徴です。
この状態は、レーザー治療(YAGレーザー)によって嚢の中央を開けることで簡単に解消できます。
痛みはほとんどなく、外来で短時間で行える治療として多くの患者に適用されています。
後発白内障の発生は予防できないものの、治療を行えば再び明るい視界を取り戻すことが可能です。



手術後感染・眼圧上昇などのリスクと見分け方

白内障手術のあと、ごくまれに細菌感染を発生するケースがあります。
とくに手術から数日以内に強い目の痛みや急激な視力低下、白目の充血、膿のような目やにが出るといった症状が現れた場合は、眼内炎などの重篤な感染が疑われます。
早期の診断と治療が必要となり、放置すると視力を大きく損なう恐れがあります。
異常を見逃さないためにも、医師の指示通りの受診、日常の見え方を気にすることが大切です。
手術後に処方される点眼薬も、自己判断で中止せず医師の指示どおりに使い続け、合併症のリスクを軽減しましょう。



異変を感じたときの受診目安

白内障手術後の経過で不安を感じた際は、様子見は禁物です。
何かおかしいと感じたらすぐに眼科へ相談しましょう。
特に、急な視界の変化や痛みと同時におこるまぶたの腫れ、視野の一部が暗いといった症状は、重大な異常の前兆である可能性があります。
これらの症状が出たら、迷わず病院を受診しましょう。
また、「まだ数日しか経ってないけど、全然ピントが合わない」「片目だけ明らかに違う見え方をしている」と感じる場合も、自己判断せずに病院で診てもらうことが大切です。
医師に伝える際は、「いつから」「どんな風に」「どのくらい変わったか」など、症状の始まりや変化、使っている点眼薬のことなどを具体的に話すと、より正確な診断につながります。
たとえ定期検診の予約が近くても、異常を感じた際に対処することで、大切な視力を守ることができます。

まとめ

白内障手術後は、誰しも少なからず見え方に変化や不安を感じるものです。
大切なのは、正常な経過と異常な症状を見極め、生活に無理なく対応すること。
違和感が続く場合は、迷わず医師に相談しましょう。
正しい知識と備えが、手術後の安心につながります。

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