白内障のレーザー治療とは?メスを使わない最新手術のメリットと費用・安全性まで徹底解説

白内障のレーザー治療とは?メスを使わない最新手術のメリットと費用・安全性まで徹底解説

2025.07.25

白内障のレーザー治療とは?メスを使わない最新手術のメリットと費用・安全性まで徹底解説

白内障のレーザー治療とは?メスを使わない最新手術のメリットと費用・安全性まで徹底解説

この記事の監修者

 
白内障のレーザー治療とは?メスを使わない最新手術のメリットと費用・安全性まで徹底解説
大内雅之アイクリニック 院長 大内雅之

2018年大内雅之アイクリニック開設。
眼内レンズ手術(白内障・ICL)手術専門クリニックとして、
総手術件数は25,000件以上。
疾患や治療の説明を端的に、分かりやすくお伝えする啓蒙・修練の場として、メディアへ出演や、数多くの論文・著書の実績も持ち、指導的立場で臨床にあたる。2022-23・2024-25ベストドクターズ、2期連続で選出され、多くの医師からも支持を受けている。
「担当医の顔が見える医療、術前から術後まで執刀医による一貫した診療」にこだわり、患者様がいかに快適に人生を楽しめるか(QOL)を追求し続けている。
東京医科歯科大学 特命教授、北海道大学 非常勤講師、
日本白内障屈折手術学会理事、日本眼科手術学会理事

「白内障の手術って、やっぱり怖い…」「メスを使わずに済む方法はないの?」そんな不安を抱えている方におすすめなのが「レーザー白内障手術」です。

本記事では、従来の手術との違いからメリット・デメリット、費用や保険適用の有無、安全性まで、白内障のレーザー治療の最新情報を解説します。



白内障のレーザー治療とは?|従来手術との違いを解説



白内障のレーザー治療とは、フェムトセカンドレーザーという特殊な光を使って行う、最新の手術です。

従来のメスによる切開ではなく、レーザーによって精密な処理ができることが特徴です。

レーザー治療の進歩により、術中の安全性や再現性が向上し、患者にとっても安心感のある治療法として注目を集めています。
ここでは、レーザー白内障手術の仕組みと、従来法の違いについて具体的に解説していきます。



フェムトセカンドレーザーとは?どんな仕組みの手術?

フェムトセカンドレーザーとは、1兆分の1秒という非常に短いパルスのレーザー光を使って、組織を微細に切開できる医療機器です。

目に触れずに角膜や水晶体を加工できるため、機械的な圧力や熱ダメージを最小限に抑えられることが最大の特徴です。
白内障手術では、このレーザーを使って角膜切開や水晶体嚢(のう)の開口、水晶体の分割などの工程を、極めて高い精度で行います。

人の手では難しい正円状の切開や均一な深さの処理も可能なため、人工レンズの固定がより安定し、術後の乱視リスクも低減します。
このように、フェムトセカンドレーザーは「より正確で、安全な白内障手術」を実現する先端技術なのです。



レーザー手術と通常の超音波手術の違い

従来の白内障手術では、まず医師が手動で角膜を切開し、水晶体嚢に開口部を作り、その後、超音波で濁った水晶体を砕いて吸引します。

一方、レーザー手術では、切開や水晶体の分割作業の多くをフェムトセカンドレーザーでまかなえます。
最大の違いは「手作業」か「レーザーによる自動制御」かという点です。

レーザーによる処理は、あらかじめ設定された数値や画像ガイドに従って行われるため、個人差が少なく再現性の高い手術が可能です。
また、レーザーによって水晶体があらかじめ細かく分割されることで、超音波の使用量も減り、目への負担が軽減されるという利点もあります。



手術の流れ|レーザーを使うことで何が変わる?

レーザー白内障手術の流れは、大まかには従来手術と同様ですが、前半の工程が大きく変わります。
まず患者の目の状態を精密にスキャンし、コンピューターが手術の計画を立てます。

その後、フェムトセカンドレーザーによって角膜の切開、水晶体嚢の開口、水晶体の分割が自動で行われます。

ここまでをレーザー室で行ったら、患者、術者共に、続きを行う手術室に移動になります。 レーザー設備は大きくて手術室には入らず、また室温管理などがあるので手術室とは別の部屋に設けてある事が一般的だからです。

続いて、従来通りの超音波で水晶体を吸引し、人工レンズを挿入して完了です。
つまり、レーザー治療は「事前準備の精度と安全性を高める」工程を担っているのです。

レーザー治療のメリットとデメリット



白内障のレーザー手術は、高度な機器と画像解析技術を活用することで、従来よりも精密かつ安全な処置が期待できる手術方法です。

特に「自由診療でも良いので、新しい技術で手術を受けたい」といった声に応える手段として注目されています。

しかし、必ずしもすべての患者にとって最良の選択肢になるとは限りません。そのため、あらかじめ治療法の違いや費用面も理解しておく必要があります。
ここでは、レーザー白内障手術の代表的なメリットとデメリットについて、具体的に解説します。



レーザーによる高精度な切開と安定性

レーザー白内障手術の最大の魅力は、切開の正確さと手術全体の安定性です。

フェムトセカンドレーザーは、角膜の切開や水晶体嚢の開口を1ミクロン単位で制御できるため、理想的な形状と位置での処置が可能です。
そのため、人工レンズが正確に固定され、術後の視力がよりクリアに保たれる、と期待されて開発されました。
また、手動による処置に比べて眼内構造への物理的なダメージが少ないため、炎症や合併症のリスクも抑えられるとされています。



医師の技術に左右されにくい機械制御のメリット

従来の白内障手術は、医師の手技によって結果が大きく左右されることがありました。

特に角膜切開や水晶体嚢の開口は、視力の仕上がりに直結する重要な工程であり、術後の見え方に影響しますが、執刀医には、学会のオピニオンリーダーから研修医、または高齢化した術者など、様々なレベルがあり、機械化によってその差が埋められることは安心感に繋がります。
レーザーを用いることで、これらの工程がコンピューター制御によって行われるため、執刀医が誰に当たるか分からない病院では、手技のバラつきを補正する効果が期待できる、というわけです。

機械による均一で正確な処置は、医師の負担が少なく、患者にとってより再現性の高い結果につながります。
レーザー白内障手術は、「誰が手術するか」だけでなく「どう手術するか」に焦点をあてた治療法といえます。



デメリット|費用が高い・対応施設が限られる点

一方で、レーザー白内障手術には注意すべき点もあります。

まず、フェムトセカンドレーザーを使用した手術は健康保険が適用されず、自由診療扱いとなります。

このため、通常の手術よりも費用が高額になりやすく、施設によっては片眼で20万〜40万円程度かかることもあるのです。
そして、最大のデメリットは、レーザー処置→レーザー室から手術室への移動→続きの手術と効率が悪く、時間が掛かるということと、今のところ、超音波手術と比べて術後成績に明確な差が証明されていないという点です。
また、レーザー機器の導入、さらにはその維持管理費に高いコストがかかるため、対応できる眼科施設が限られている点も知っておきたいポイントで、そのような理由から、維持費用と効果の差が見合わず、レーザー手術装置を手放す病院も、最近は増えてきており、この機器を製造販売する企業も減ってきています。
さらに、すべての症例がレーザー手術の対象となるわけではなく、目の状態によっては従来法が適している場合があります。

これらを踏まえ、事前に医師との十分な相談が必要です。

レーザー白内障手術の費用はどれくらい?



レーザー白内障手術は、精度や安全性の高さで注目されていますが、その分、費用面が気になるという声も多く寄せられています。

特に保険が適用されない点は、事前に確認しておきましょう。
ここでは、レーザー手術にかかる費用の相場と、保険適用の有無、高額療養費制度の活用についてくわしく解説します。



レーザー白内障手術は保険適用される?

前述の通り、レーザーを使った白内障手術は「自由診療」で、公的医療保険の対象外です。
保険が適用されるのは、メスを使用した従来型の超音波乳化吸引術であり、レーザー装置の使用は追加オプションとみなされます。

そのため、医師からレーザー手術をすすめられた場合でも、その部分の費用は全額自己負担になる可能性があります。
ただし、施設によっては一部費用を保険でカバーし、レーザー手術分を加算する料金体系を導入している場合もありますが、健康保険制度のルール上はグレーです。

事前に病院へ問い合わせ、費用と保険対応の詳細を確認しておくことが大切です。



自由診療の費用相場|通常手術との比較

レーザー白内障手術の費用は、自由診療となるため医療機関ごとに異なりますが、一般的には片眼あたり20万〜40万円が目安です。
これに対して、保険適用の通常手術(単焦点眼内レンズ使用)では、自己負担3割の場合で片眼5万円前後となることが多く、費用差は非常に大きいです。
また、レーザーと組み合わせて多焦点レンズを使用する場合は、さらに10万〜30万円程度の追加費用がかかることもあります。

術後の視力や快適さを重視したい方にとっては納得の金額といえる反面、費用負担に不安を感じる方は慎重に検討する必要があるでしょう。



高額療養費制度・医療控除は使える?

自由診療のレーザー白内障手術は、公的医療保険の適用外であるため、基本的には「高額療養費制度」の対象に含まれません。

ただし、医療費控除の対象になる可能性はあるため、確定申告時に「医療費」として申告すれば、一定の還付を受けられることがあります。
対象になるかは、領収書の記載内容や、医療費の合計額、所得額などによって変わります。

自由診療であっても、治療目的が明確であることを証明できれば、控除対象になることが多いので、医療費控除を視野に入れておいても良いでしょう。

また、事前に税理士や病院の窓口で相談しておくと、手続きがスムーズに進められます。

どんな人に向いている?レーザー白内障手術の適応と注意点



レーザー白内障手術は、どんな人にとっても最適な治療とは限りません。

高い精度・安全性は大きな魅力ですが、費用や適応条件を踏まえたうえで選ぶことが必要です。
ここでは、白内障のレーザー手術に向いている人の特徴と、注意すべきポイントを具体的に紹介します。



慎重派・安全性重視の方には特におすすめ

レーザー白内障手術は、執刀医に拘らず、設備に拘りたい人、手術のリスクをできるだけ抑えたい方に適した選択肢です。

メスによる切開を避けられるため、感染リスクやダメージを軽減でき、術後の回復が安定しやすくなる、というデータもあります。
また、フェムトセカンドレーザーによる正確な操作は、人工レンズの固定精度にも寄与し、乱視や視力のブレを抑える効果も期待できるのです。

「医師間の技術格差を心配するより、機械の精密さに安心を感じる」という方には、特に安心感できる治療法といえるでしょう。



すべての白内障患者が対象にならない

一方で、レーザー手術はすべての白内障症例に適応しません。

たとえば、角膜が極端に薄い方や、目の構造に異常がある場合は、レーザー照射が難しくなる場合があります。
また、白内障が急速に進行して視界が著しく悪化しているケースでは、画像解析による制御が難しく、従来の手術が選ばれることもあります。

こうした機器の特性や症例ごとの手術の適応可否は、眼科専門医による診察と説明を受けてから判断することが大切です。



医師との相談で納得の選択を

約10数年前に、革新的技術として注目されたレーザー白内障手術ですが、これまでの所は、経験のある執刀医の行う超音波手術と術後成績が変わらず、かかる費用と手術時間の差だけが問題になりつつあります。
そのため、自分の症状・希望・予算に合った治療方法かどうかを、医師と相談しながら決める必要があります。
執刀医を慎重に選ぶか、医師間の技術格差を埋める新しい技術に期待するかは、患者さん個人の選択になるでしょう。

レーザー白内障手術を受けられる病院は?選び方のポイント



レーザーによる白内障手術は、すべての眼科で受けられる治療ではありません。

高度な機器と熟練した技術を必要とするため、対応している医療機関には限りがあります。
この章では「どの病院で受ければいいのか分からない」「施設選びで失敗したくない」と感じている方に向けて、信頼できる病院を選ぶ際のポイントを解説します。



対応施設は限られる|地域と実績を確認

フェムトセカンドレーザーを導入している医療機関は、都市部を中心に一部の病院や専門クリニックに限られます。

そのため、まずは「レーザー白内障手術」「フェムトセカンドレーザー」というキーワードで対応している病院を検索し、地域ごとに調べることがおすすめです。
また、レーザー装置を導入していても、実際の症例数が少ない施設では、対応力やノウハウに差が出ることもあります。

病院のホームページや医師の経歴、学会発表、患者の口コミなどから、レーザー手術の実績を確認してみましょう。



医師の技術×設備力が重要

レーザー機器の性能が高くても、最終的な手術の仕上がりを左右するのは、やはり医師の判断力と経験です。

特に手術前の検査・診断、目の状態に応じた計画設計、手術中の微調整などは、医師の知見が大きく関与します。

そのため、レーザー手術の経験が豊富で、設備だけでなくスタッフ体制が整っている病院を選ぶことが重要です。

「設備が新しいか」だけでなく、「誰が手術を担当するのか」「アフターケアの体制はどうか」にも注目して、比較検討しましょう。



カウンセリング・術後ケアの充実度も比較を

医療機関を選ぶ際は、事前カウンセリングや術後フォローの体制も重要なポイントです。

納得して手術を受けるには、事前に十分な説明を聞き、不安や疑問に丁寧に答えてもらえる環境が欠かせません。
さらに、術後の経過観察やトラブル時の迅速な対応が整っていることも、安心して治療を任せられる医療機関の条件の一つです。

「一人ひとりの目の状態に合わせて治療方針を提案してくれるか」「術後の診察頻度や対応体制はどうなっているか」なども確認しておきましょう。
治療の質だけでなく、患者への向き合い方も含めて医療機関を選ぶことが、満足度の高い手術につながります。

まとめ

レーザーを使った白内障手術は、高精度かつ安全性も高い治療として注目されています。その分、従来の手術と比べると費用は高めですが、安心感を重視する方にとっては大きなメリットです。

ご自身やご家族にとってどの治療法が最適なのか、医師としっかり相談しながら納得のいく選択をしましょう。

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