白内障の症状チェック|初期サインと進行の見極め方

白内障の症状チェック|初期サインと進行の見極め方

2025.05.07

白内障の症状チェック|初期サインと進行の見極め方

白内障の症状チェック|初期サインと進行の見極め方

この記事の監修者

 
白内障の症状チェック|初期サインと進行の見極め方
大内雅之アイクリニック 院長 大内雅之

2018年大内雅之アイクリニック開設。
眼内レンズ手術(白内障・ICL)手術専門クリニックとして、
総手術件数は25,000件以上。
疾患や治療の説明を端的に、分かりやすくお伝えする啓蒙・修練の場として、メディアへ出演や、数多くの論文・著書の実績も持ち、指導的立場で臨床にあたる。2022-23・2024-25ベストドクターズ、2期連続で選出され、多くの医師からも支持を受けている。
「担当医の顔が見える医療、術前から術後まで執刀医による一貫した診療」にこだわり、患者様がいかに快適に人生を楽しめるか(QOL)を追求し続けている。
東京医科歯科大学 特命教授、北海道大学 非常勤講師、
日本白内障屈折手術学会理事、日本眼科手術学会理事

最近、視界がかすんだり、光がまぶしく感じたりすることはありませんか?それは白内障の初期症状かもしれません。白内障は放置すると進行し、最終的には視力が大きく低下する可能性があります。本記事では、白内障の症状や進行度、自己診断の方法、治療法、予防策について詳しく解説します。早めの対策を講じることで、視力を守ることが可能です。ぜひ最後までご覧ください。


白内障の症状とは?初期サインを見逃さないために


白内障は、目の中にある水晶体が濁る病気です。この変化によって視界がかすみ、日常生活に影響を及ぼします。特に初期症状は軽いため、気づかずに放置してしまうことがあります。
しかし、早期に対処することで進行を遅らせることが可能です。ここでは、白内障の初期症状と、他の目の病気との違いについて解説します。



白内障の初期症状チェック|こんな症状は要注意

白内障の初期症状には、さまざまなサインがあります。次のような症状がある場合、白内障を疑いましょう。


  • ● 視界がかすむ
  • ● 光が異常に眩しく感じる
  • ● 視力が低下する
  • ● モノが二重(にじゅう)に見える(特に、街灯、月など暗いところで光っているもの)

白内障になると、視界がかすむと感じることがあります。特に細かい文字が読みにくくなることが特徴です。また、光がまぶしく感じることがあり、外出時や夜間の運転が困難になる場合があります。

さらに進行すると、視力が低下します。眼鏡をかけても視力が改善しない場合は、白内障の影響かもしれません。また、片目だけで見たときにモノが二重(にじゅう)に見えることがあります。二重に見えるのは、水晶体の濁りによって光が乱反射するために起こる現象です。

症状が軽いうちは日常生活に大きな影響はありません。しかし、進行すると視力が大きく低下し、生活の質が下がる可能性があります。気になる症状がある場合は、早めに眼科を受診しましょう。



白内障と勘違いしやすい目の病気との違い

白内障の症状は、以下のようなほかの目の病気と似ていることがあります。


  • ● 加齢黄斑変性
  • ● 緑内障
  • ● ドライアイ

加齢黄斑変性は、視界の中心部分がぼやけるのが特徴です。一方、白内障は視界全体がかすんだり、光がまぶしく感じたりします。

緑内障は視野が狭くなる病気です。白内障とは異なり、初期の段階では視力の低下を自覚しにくい傾向があります。

ドライアイは、白内障と同様に視界のかすみを引き起こします。しかし、目薬を使うと改善する点が、白内障との大きな違いです。

白内障の進行度と放置するとどうなる?


白内障は、時間の経過とともに症状が悪化する進行性の病気です。初期の段階では視界のかすみや光のまぶしさが気になる程度ですが、進行すると視力の大幅な低下を引き起こします。

ここでは、白内障の進行スピードと、放置した場合のリスクについて解説します。



白内障の進行スピード|どのくらいで悪化する?

白内障の進行スピードは個人差があります。一般的には、発症から視力が著しく低下するまでに数年から十数年かかることが多いです。

しかし、糖尿病や外傷、アトピー性皮膚炎が原因の場合、進行が早まることがあります。特に糖尿病性白内障は急激に悪化し、短期間で視力が低下することがあるため注意が必要です。


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また、進行の速さには生活習慣も関係します。紫外線を多く浴びる環境にいる人や喫煙習慣のある人は、白内障の進行が早まる可能性があります。

進行スピードが遅いからといって放置するのは危険です。症状が軽いうちに眼科を受診し、適切な治療を受けましょう。


白内障を放置すると失明の可能性も?リスクを解説

白内障は、放置すると視力の低下が進み、極端な場合には、ほとんど目が見えなくなることもあります。高度に進行してしまうと、視界が真っ白にかすんだ状態になり、日常生活が困難になるでしょう。


さらに、進行した白内障は緑内障を引き起こすことがあります。なぜなら、白内障が進行すると水晶体が膨らみ、眼の中の水の流れまで障害して眼圧が上昇しやすくなるからです。


また、手術の難易度も上がります。白内障の初期段階で手術を受ければ比較的短時間で済みますが、進行すると手術が複雑になり、合併症のリスクが高くなります。白内障を放置することで、さまざまなリスクが高まります。少しでも視界の異変を感じたら、早めに眼科で診察を受けましょう。

白内障の治療法|手術はいつがベスト?

白内障の治療にはいくつかの方法がありますが、根本的に視力を回復させるには手術が必要です。
この章では、白内障の治療法と、手術を受けるタイミングについてわかりやすく説明します。



白内障の治療法一覧|目薬で治る?それとも手術?

白内障の根本的な治療方法は、手術のみです。しかし、白内障の進行を抑えるだけであれば、手術以外の方法もあります。



点眼薬を使用する

医師から処方される白内障の目薬を使用する方法です。

点眼薬の目的は白内障の進行を遅らせることであり、濁ってしまった水晶体を元の透明な状態に戻すことはできません。


実際、一度白く濁った水晶体を目薬で元通り透明にする効果は科学的に証明されておらず、残念ながら白内障を治す点眼薬はないのが現状です。


日本眼科学会のガイドラインでも、初期の白内障に対して点眼薬を試みることはありますが「十分な科学的根拠がない」とされています。ただし点眼治療には副作用がほとんどなく、先ず試みても悪くはないとも言え、自覚症状がほとんどない初期段階では「現状維持」を図るために目薬を処方されることがあります。目薬を毎日さすことで水晶体が濁るスピードを抑え、手術のタイミングを少し先送りにできる可能性があります。


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手術を受ける

白内障が進行して視力低下が進み、日常生活に不便さを感じるレベルになったら手術を検討しましょう。

手術以外に根本的な治療法がないため、白内障による視力低下を改善する唯一の方法は手術です。手術では濁った水晶体を取り除き、代わりに人工の水晶体である眼内レンズを目の中に挿入します。


眼内レンズは長期間安全に使用でき、一度挿入すると再び白内障が生じることはありません(ただし、眼内レンズを固定するために残す膜が濁る「後発白内障」が生じる場合がありますが、これは、外来診療中にレーザーで治療できます)。


手術によって曇ったレンズを交換することで視界がクリアになり、多くの場合、視力が手術前より大きく改善します。



白内障手術は必要?医師に相談すべき基準とは

白内障手術は緊急性の高い手術ではないため、患者さん本人が「不便だ」と感じるかどうかが重要な目安になります。例えば、メガネをかけても視力が0.5以下に低下して新聞や本の文字が読みにくい、明るい場所で強いまぶしさを感じて外出がつらい、車の運転に支障が出て危険を感じる、といった場合は手術を検討するタイミングといえます。


一方で、視力検査の数値が多少低下していても、日常生活に不自由がなければ慌てて手術をする必要はありません。本人が「まだ困っていない」と感じるうちは、定期的に眼科で経過を追いながら様子を見ることも選択肢の一つです。


ただし、医師から「水晶体が硬くなってきている」あるいは「膨らんできている」と指摘された場合は注意が必要です。水晶体が極端に濁って硬くなると手術の難易度が上がり、合併症のリスクも高まります。

生活に支障がない場合でも、医師から勧められたら早めに手術を受けることが望ましいです。

白内障をあまりに長く放置して重症化すると、極端な場合ですが、明るささえ感じなくなるおそれもあります。適切な時期に手術を受けることで、安全に視力を取り戻すことができます。

白内障の予防・進行を遅らせる方法


白内障は主な原因が加齢であるため、完全に予防することは難しい病気です。しかし、生活習慣に気をつけることで発症を遅らせたり進行を抑えたりできます。


では、白内障の予防につながる効果的な習慣や、進行を少しでも遅らせる工夫について具体的に見ていきましょう。



白内障の予防は可能?効果的な生活習慣と対策

白内障を完全に防ぐことはできません。なぜなら老化現象の一種であり、年齢とともに誰にでも起こり得るものだからです​。しかし、日々の生活習慣を工夫することで白内障の発症リスクを減らし、進行を遅らせることは十分可能だと考えられています​。

ポイントとなる習慣について、以下に詳しく説明します。



紫外線対策をする

太陽の強い紫外線は水晶体の老化を早め、白内障の進行リスクを高めます​。外出時はUVカット効果のあるメガネやサングラス、つばの広い帽子や日傘などを活用し、目にできるだけ紫外線を浴びないように心がけましょう。日差しの強い時間帯の長時間の屋外活動も避けるなど、目の紫外線ケアを習慣にすることが大切です。



バランスの良い食事をとる

食生活の改善は白内障予防にとても重要です​。ビタミンや抗酸化作用のある栄養素をしっかり摂ることで、水晶体の酸化ストレス(体のサビ)を和らげ、細胞の老化を遅らせる効果が期待できます​。たとえば緑黄色野菜に多く含まれるβカロチンやルテイン、ブルーベリーなどに含まれるアントシアニン、そしてビタミンC・Eなどは強い抗酸化作用があり、白内障の発症リスクを抑えるのに役立つとされています​。日頃から野菜や果物、魚などをバランスよく食べて栄養を補いましょう。
また糖分の過剰摂取にも注意が必要です。甘い飲食物やインスタント食品のとりすぎは血糖値を上げてしまい、結果的に白内障を進行させる一因になるため控えめにしましょう​。



禁煙する

タバコを吸う習慣がある人は、ない人に比べて白内障になる危険度が約3倍高いと言われています​。

ニコチンなどの有害物質が全身の血流を悪化させ、水晶体に十分な栄養が届かなくなるからです​。喫煙は目の健康に悪影響を及ぼす白内障の大きなリスク要因ですので、予防のためには禁煙にチャレンジしてみましょう。



目に良いサプリメントを活用する

食事だけで摂りにくい栄養素は、サプリメントで補う方法もあります。ルテインやアントシアニン、ビタミンC・Eなどを含むサプリメントは「目に良いもの」として市販されています。これらの成分は活性酸素を減らし、目の老化予防に役立つでしょう​。

ルテインやビタミン類の抗酸化サプリメントが白内障を含む加齢眼疾患に有用かどうか、大規模な研究も行われています。しかし、サプリメントはあくまで補助であり、白内障を劇的に防いだり治したりする「特効薬」ではありません。


例えばビタミンEについては白内障予防に効果があると期待される一方で、「関連性が見られなかった」という研究報告もあります。また、サプリメントは医薬品ではなく厳密な効果検証がなくても販売できる健康食品です​。過剰に摂取することで、かえって健康に悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。サプリメントを利用する場合は用法用量を守り、過度な期待をせず上手に活用することが大切です​。基本は普段の食事で栄養をとり、不足分を補う程度に考えましょう。



白内障の進行を遅らせるためにできること

すでに白内障と診断されている場合でも、進行をできるだけ遅らせる工夫によって日常生活への影響を減らすことが期待できます。基本的には前述のような紫外線対策や食生活の改善、禁煙などの心がけは引き続き重要です。それに加えて目の使い方に気をつけ、定期的に眼科で検診を受けることが進行抑制に役立ちます。



目に負担をかけすぎない

まず、目に負担をかけすぎないようにすることが大切です。白内障が進行すると視界がぼやけて物が見えにくくなるため、同じものを見るにも時間が掛かり、知らず知らずのうちに目を酷使してしまいがちです。その状態が続くと、ドライアイや瞼など他の部分の症状が蓄積し、ストレスによって症状がさらに悪化する恐れもあります​。不自由になる前に、日常生活ではこまめに目を休ませる習慣をつけましょう。
長時間スマホやパソコン画面を見続けることは避け、1時間に一度は画面から目を離して遠くを眺めたり、意識してまばたきをして目を潤すようにしてください​。目が疲れたと感じたら温かいタオルや市販のホットアイマスクで目元を温めたり、目のまわりを優しくマッサージして血行を良くするのも効果的です​。このように日頃から目を労わることで目の健康を保つことができます。



定期的に眼科検診を受ける

定期的な眼科検診を受けることも忘れないでください。白内障を含む目の病気は初期には自覚症状が少なく、気づかないうちに進行している場合があります​。早期発見・早期対処のために、症状がなくても年に1回程度は眼科で検査を受けておくと、進行のスピードなどが把握しやすくなり、治療のタイミングを適切に決めるヒントにもなります。


定期検診を受けている人と受けていない人では、白内障による視力障害や失明のリスクに差が出ることも報告されています​。40代を過ぎたら自覚症状がなくても定期的に検診を受け、医師と相談しながら目の状態を把握しておきましょう​。

まとめ

白内障は、初期段階では気づきにくい病気ですが、視界のかすみや光のまぶしさを感じた場合は注意が必要です。進行すると視力が低下し、日常生活に支障をきたす可能性があります。予防のためには、紫外線対策やバランスの取れた食生活が重要です。また、症状を自覚した際には
早めに眼科を受診し、適切な治療を受けましょう。

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