最近、なんとなく視界がかすんで見えづらい…そんな違和感を覚えることはありませんか?
年齢を重ねるとともに、見え方の変化を感じる方は少なくありません。
視界のぼやけやかすみは「白内障」のサインかもしれません。
しかし、「白内障」といわれても、すぐに手術を決断できない方も多いと思います。
本記事では、白内障の治療法にはどんな種類があるのか、手術以外にできることはあるのか、進行を遅らせる方法などくわしく解説します。
まずは正しい知識を得て、不安を少しでも軽くしましょう。
目次
そもそも白内障とはどんな病気か

白内障とは、目の中にある「水晶体」が濁ることで視力が低下する病気です。
水晶体は、カメラのレンズのように光を通してピントを合わせる役割があります。
正常な状態では透明ですが、白内障になると濁って光がうまく通らなくなります。
白内障の主な治療法は2つ。初期段階では点眼薬による治療、症状が進行し視力低下が著しい場合は、手術が必要になります。
白内障は自然に治ることがありません。そのため、早期発見と適切な治療が重要です。
目の違和感を抱いた際は、早めに眼科を受診することをおすすめします。
白内障のおもな2つの治療法

白内障の治療は、病気の進行状況に応じて異なります。
初期段階では、点眼薬を使った薬物療法によって進行を抑えられる可能性もありますが、視力低下が著しい場合は手術が必要です。
それぞれの治療法について詳しく解説します。
点眼薬による治療
一度変性してしまったたんぱく質は、元に戻らないため、完治させることはできません。
そこで白内障の進行を抑えるために、病医院で処方される点眼薬があります。
点眼薬の効果は、あくまでも白内障の進行を抑えることで、その効果も人の眼では明確なデータはありません。しかし、「白内障がある」という病識を持ち、医師の診察を定期的に受けるというメリットがあります。
点眼薬の主な種類は、グルタチオン製剤とピレノキシン製剤の2つです。
グルタチオン製剤
白内障は、目の水晶体に含まれる「グルタチオン」という物質や、グルタチオンを合成する酵素の機能が低下することにより発症するとされています。
「グルタチオン製剤」を点眼により水晶体のグルタチオンを補充することで、白内障の進行を実質的に抑えることができるとされています。
1日に点眼する量の目安は、3~5滴ほど。ただし、点眼回数は白内障の進行レベルによって変わるので、医師の指示に従いましょう。
ピレノキシン製剤
「ピレノキシン製剤」は、水晶体をクリアに保つ効果がある点眼薬です。
白内障の一因となるのが、水晶体の中でアミノ酸の代謝異常によって生まれる「キノイド物質」です。このキノイド物質が、水晶体の大切なタンパク質を変化させて濁らせてしまいます。
ピレノキシン製剤により、このキノイド物質の働きを弱めることができます。その結果、白内障の症状や進行を抑える効果を期待されて開発されました。
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ドラッグストアなどで市販されている目薬にも、「白内障予防」「進行抑制」を謳うものがあります。ただし、医療用点眼薬の効果も、実質的には高い期待が出来ないのが現状ですが、市販の目薬にはこの医療用点眼薬ほどの効果も期待できません。
あくまで目の疲労回復や栄養補給をサポートすることが目的であり、白内障の進行を抑える効果は限定的です。
市販の目薬に頼るのではなく、定期的に眼科を受診して適切な治療を受けることが重要です。
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白内障に効く目薬はない?市販薬の限界と正しい治療法手術による治療
白内障が進行し、日常生活に影響が出ている場合は手術が必要です。
手術は症状の進行具合や、日常生活への影響を考慮して行います。以下のような状況であれば、手術をしたほうが良いでしょう。
- ● 視力が低下し、日常生活に不便を感じる(例:テレビが見えにくい、文字が読みにくいなど)
- ● 眼鏡やコンタクトレンズでも視力が改善しない
- ● 仕事や運転に支障があり、生活の質が低下している
手術と聞くと、何日もかけて行う大掛かりなイメージがあるかもしれません。
しかし、医療技術や機器の進歩によって、現在は日帰りで白内障の手術を受けることも可能です。
手術の方法としては、白内障によって濁った水晶体を除去し、人工の水晶体(眼内レンズ)を目のなかに取りつけます。局所麻酔を使用するため痛みを伴いませんのでご安心ください。
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白内障は加齢に伴う自然な現象である一方、日頃の生活習慣を見直すことで、長期的にみると前述の点眼薬よりも確実に進行を遅らせることができます。
この章では、白内障の進行を遅らせる具体的な方法について解説します。
紫外線対策を徹底する
太陽の強い紫外線は水晶体の老化を早め、白内障の進行リスクを高めます。外出時はUVカット効果のあるメガネやサングラス、つばの広い帽子や日傘などを活用し、できるだけ目に紫外線を浴びないよう心がけましょう。日差しの強い時間帯に長時間の屋外活動を避けるなど、目の紫外線ケアを習慣にすることが大切です。
ステロイド薬の使用に注意する
ステロイド薬は、炎症やアレルギー反応を抑えるために広く使われる薬ですが、長期間の使用は白内障の発症リスクを高めます。
ステロイド薬を使用している場合は、医師と定期的に相談し、必要最小限の使用量を守ることが大切です。自己判断で薬の量を増やしたり、長期間使用し続けたりすることは避けましょう。
医師の指示に従い、治療経過をしっかりと確認することで、副作用のリスクを抑えることができます。
ステロイド点眼薬を使用している場合も注意しましょう。長期間使用していると目の水晶体に影響を及ぼす可能性があるからです。
使用期間や頻度を守り、定期的に眼科検診を受けるよう心がけてください。
バランスの良い食生活を心がける
食生活の改善は白内障予防にとても重要です。ビタミンや抗酸化作用のある栄養素をしっかりとることで、水晶体の酸化ストレス(体のサビ)を和らげ、細胞の老化を遅らせる効果が期待できます。
たとえば緑黄色野菜に多く含まれるβカロチンやルテイン、ブルーベリーなどに含まれるアントシアニン、そしてビタミンC・Eなどは強い抗酸化作用があり、白内障の発症リスクを抑えるのに役立つとされています。日頃から野菜や果物、魚などをバランスよく食べて栄養を補いましょう。
また糖分の過剰摂取にも注意が必要です。甘い飲食物やインスタント食品のとりすぎは血糖値を上げてしまい、結果的に白内障を進行させる一因になるため控えましょう。
生活習慣を見直す
喫煙や過度な飲酒は体内の酸化ストレスを増大させ、水晶体の劣化を加速させます。
特に喫煙は、白内障の発症リスクを最大3倍以上に高めるとされているため、喫煙本数を減らしたり禁煙したりすることが重要です。
また、十分な睡眠を確保し、目を休める時間をつくることも効果的です。
現代ではスマートフォンやパソコンの使用時間が増え、目に負担をかける生活が一般的になっています。
これらは白内障の発症には直接関係していませんが、これらの症状と白内障による症状は似ている部分もあり、判断を誤らせてしまうことがあります。目の疲れを軽減するために、長時間作業の合間に適度な休息を取り入れましょう。特に遠くを見ることは目の緊張を和らげ、健康を維持する効果があります。
そして、適度な運動も生活習慣の1つとして取り入れると良いでしょう。
血行が促進されることで目に必要な栄養が行き渡りやすくなり、全身の健康維持にもつながります。
定期的な眼科検診を受ける
白内障は初期段階では自覚症状が少ないため、定期的に眼科検診を受けることが早期発見につながります。
特に40歳を過ぎたら年に1回は眼科を受診し、目の状態を確認しましょう。
検診では視力検査や眼底検査、水晶体の濁り具合を調べるので、白内障の兆候に早く気づくことができます。
糖尿病や高血圧など、白内障のリスクを高める全身疾患がある方は、さらに注意が必要です。定期的な健康管理と眼科検診を組み合わせ、白内障の進行を防ぎましょう。
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白内障と診断されたばかりの方にとって、「本当に治るのか」「何もしなければどうなるのか」といった疑問や不安は尽きません。ここでは、患者さんやそのご家族からよく寄せられる質問にわかりやすくお答えします。
白内障は自然に治ることはある?
白内障は自然に治る病気ではありません。原因の多くは加齢によるものであり、水晶体が少しずつ白く濁っていく性質を持っています。
一度濁ってしまった水晶体が自然に元に戻ることはなく、放置しても改善することはありません。目薬やサプリメントで進行を緩やかにすることは可能ですが、完全に治ることはないというのが医学的な見解です。
「いつか治るかもしれない」と様子を見るよりも、早めに眼科で相談し、進行の度合いや生活への影響をチェックすることが大切です。自然治癒を期待せず、現実的な対策を考えていきましょう。
手術以外の治療で視力は戻る?
残念ながら、手術以外の治療で視力を回復させることは難しいのが現実です。
点眼薬や内服薬は進行を遅らせることを目的としており、濁った水晶体を元に戻す効果はありません。
視力を根本から改善させるには、濁った水晶体を取り除く手術が唯一の方法とされています。
手術が怖いと感じる方もいらっしゃいますが、現代の白内障手術は安全性が高く、多くの方が術後の視界に満足しています。
まずは医師に相談し、どの段階で手術を検討すべきか話を聞いてみましょう。
治療せずに放置するとどうなる?
白内障を放置すると、視力の低下が徐々に進み、最終的にはほとんど目が見えなくなる恐れがあります。
初期は「少しかすむ」「暗い場所で見えにくい」といった軽い不調でも、進行すると本や新聞が読めなくなったり、運転ができなくなったりするケースも少なくありません。
早期に対処すれば、視力の低下を緩やかにできるだけでなく、安心して生活を送ることが可能です。少しでも違和感を抱いた際は、早めに対処しましょう。
まとめ
白内障は進行性の病気ですが、早期に気づき正しい対応をすれば進行を抑えることも可能です。治療には点眼や生活習慣の見直し、そして最終的には手術も選択肢に入ります。「治るのか」「手術しかないのか」と不安を抱える方こそ、正確な知識をもとに自分に合った方法を見つけましょう。