白内障の本当の原因とは?スマホ・紫外線・ストレスも要注意!若年性のリスクにも迫る

白内障の本当の原因とは?スマホ・紫外線・ストレスも要注意!若年性のリスクにも迫る

2025.06.27

白内障の本当の原因とは?スマホ・紫外線・ストレスも要注意!若年性のリスクにも迫る

白内障の本当の原因とは?スマホ・紫外線・ストレスも要注意!若年性のリスクにも迫る

この記事の監修者

 
白内障の本当の原因とは?スマホ・紫外線・ストレスも要注意!若年性のリスクにも迫る
大内雅之アイクリニック 院長 大内雅之

2018年大内雅之アイクリニック開設。
眼内レンズ手術(白内障・ICL)手術専門クリニックとして、
総手術件数は25,000件以上。
疾患や治療の説明を端的に、分かりやすくお伝えする啓蒙・修練の場として、メディアへ出演や、数多くの論文・著書の実績も持ち、指導的立場で臨床にあたる。2022-23・2024-25ベストドクターズ、2期連続で選出され、多くの医師からも支持を受けている。
「担当医の顔が見える医療、術前から術後まで執刀医による一貫した診療」にこだわり、患者様がいかに快適に人生を楽しめるか(QOL)を追求し続けている。
東京医科歯科大学 特命教授、北海道大学 非常勤講師、
日本白内障屈折手術学会理事、日本眼科手術学会理事

年齢を重ねると目がかすみ、見えにくくなることがあります。
「老眼かもしれない」と思っていても、実は白内障が原因というケースも少なくありません。
さらに近年では、スマホの長時間利用やストレス、生活習慣などが影響し、若い世代にも白内障が増えています。
本記事では、白内障の原因や予防方法、手術以外の対策まで詳しく解説します。

白内障とは?初期症状と進行のしくみ



白内障は、目の中にある水晶体が濁ってしまう病気です。
水晶体はカメラのレンズのような役割をしており、透明であることで物がはっきり見えます。
しかし、何らかの原因で水晶体が白く濁ると視界がかすんだり、まぶしく感じたりします。
初期の段階では、見え方の変化にほとんどの方が気づきませんが、上記のような症状が出た場合には注意が必要です。
定期検診などで早めに症状に気づき、適切な対処を行うことが大切です。


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20代・30代でも油断できない若年性白内障とは

白内障は高齢者の病気というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
しかし、最近では20代や30代といった若年層にも発症する「若年性白内障」が増えています。

若年性白内障は、遺伝や外傷、アトピー性皮膚炎、ステロイドの長期使用などが主な原因です。
さらに、スマートフォンやパソコンを長時間使用する生活習慣も僅かですが影響するとも推測されています。
若年性の場合は進行が早いことが多く、放置すると視力が急激に低下する場合もあります。
少しでも見え方に異変を感じた際は、早めに眼科を受診しましょう。

白内障の主な原因



白内障を引き起こす要因はさまざまです。
加齢によるものが一般的ですが、その他にも生活習慣や病気、外部要因など、複数の原因が考えられます。

ここでは、白内障の主な原因について詳しく解説します。



原因1位は加齢

前述のとおり、白内障を引き起こす一般的な原因は加齢によるものです。
人間の水晶体は、加齢とともにタンパク質が変性することで徐々に濁っていきます。
特に60歳を過ぎると白内障の発症リスクが高まり、80代ではほぼ100%の人に白内障の症状が現れます。
老化現象の1つとして発症するため「加齢性白内障」と呼ばれており、進行が遅く、初期段階では自覚症状が少ないことが特徴です。
少しでも異変を感じた場合は、早めにかかりつけの眼科を受診されることがおすすめです。



ステロイド薬の長期使用

長期間にわたりステロイド薬を使用することで、白内障が発症する場合があります。ステロイド薬は炎症やアレルギー反応を抑えるために用いられる強力な薬ですが、副作用として水晶体の濁りを引き起こすケースもあります。
自己免疫疾患や喘息、アトピー性皮膚炎などの治療で長期的にステロイド薬を使用している方は注意が必要です。


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紫外線や放射線

長時間紫外線を浴びることも、白内障の原因の1つです。
紫外線が目の水晶体の線維にダメージを与え、徐々に濁りを生じさせることが主な理由です。
特に屋外での活動が多い人や、サングラスを使わない習慣がある人は注意しましょう。

また、放射線治療や過度なX線ばくろも、白内障のリスクを高めます。
「外傷性白内障」の1つとして分類され、職業上、被曝の危険性がある人も要注意です。



ストレス

ストレスと白内障は一見関係がないように思えますが、実は症状の進行に影響する場合があります。
酸化ストレスによって、水晶体が濁ると考えられているからです。

酸化ストレスとは、生体内で活性酸素の発生が抗酸化防御機構を上回り、細胞が酸化される状態のことで、さまざまな疾病や老化との関連が示唆されています。
近年の研究では、慢性的なストレスを抱える人ほど白内障を発症しやすい傾向があると報告されています。特に、長時間のデスクワークや睡眠不足など、現代社会特有のストレス環境にある人は発症リスクが高いといわれています。


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糖尿病

詳しい原因は解明されていませんが、糖尿病を患っていると、白内障を発症しやすい傾向があります。
しかし、最新の研究によると、血糖コントロールの機能不全によって、目の水晶体に「ソルビドール」という糖の一種や、糖化タンパクが蓄積すると考えられています。
糖尿病性白内障は、若者でも発症する病気です。糖尿病患者は目の健康状態にも気をつける必要があります。定期的な眼科健診と、血糖コントロールを良好に保つことを心がけましょう。


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外傷や事故

目に強い衝撃を受けると、水晶体が変性し、白内障が発症するケースがあります。
これを「外傷性白内障」と呼びます。
スポーツ中の事故や転倒、工具や金属片による外傷が主な原因です。
アトピー性皮膚炎などを患っている人も注意しなくてはなりません。かゆみによって目の周りを激しく搔いたり、特に瞼を叩くようにすると、水晶体に大きな影響を及ぼす場合があるからです。

外傷性白内障は、加齢性白内障とは異なり、急激に進行する可能性があります。自覚症状や心当たりがある方は、医療機関への受診をおすすめします。



遺伝

遺伝的や先天的な異常も、白内障の原因の1つです。
「先天性白内障」と呼ばれ、出生時から白内障が見られるケースもあります。およそ1万人に3人の割合で発症する稀な病気です。
中には、生後すぐではなく、成長過程で水晶体の濁りなどの症状が進む「発達白内障」の場合もあります。
いずれにしても生涯にわたる視力障害のおそれがあり、放置すると治療が困難になりかねません。自覚症状がある方は、すぐに眼科を受診しましょう。


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喫煙

喫煙は、白内障を発症する主な原因の1つです。タバコを1日20本吸うと、白内障の発症リスクが最大3倍になるといわれています。
WHOが国際失明予防機関およびニューカッスル大学と共同で作成した報告書にも、以下のように記されています。


“Smoking increases your risk of developing serious eye conditions and permanent sight loss. Quitting smoking and having regular eye tests can help improve eye health and prevent avoidable sight loss”
「喫煙は、深刻な目の病気や永久的な視力喪失を引き起こすリスクを高めます。禁煙し、定期的に目の検査を受ける事は、目の健康を改善し、避けられない視力喪失を防ぐのに役立ちます」

引用元:WHO公式サイト


タバコと白内障の因果関係は、詳しく証明されていませんが、一説によると、タバコの煙に含まれるニコチンが血流を悪化させ、目に必要な栄養素が送られなくなることが原因ではないかといわれています。
不安がある方や自覚症状がある方は、1日の喫煙本数を減らすことから始めてみましょう。

白内障を予防するには?今すぐできる対策



白内障は加齢に伴う自然な現象ではありますが、日頃の生活習慣を見直すことで発症を遅らせることが可能です。
ここからは、白内障を未然に防ぐ方法について解説します。



紫外線対策を徹底する

紫外線は水晶体のタンパク質にダメージを与え、白内障を引き起こす一因です。外出時は紫外線を防ぐ工夫をしましょう。
日差しが強い日には、UVカット機能付きのサングラスや帽子の使用がおすすめです。サングラスは、顔にしっかりフィットするデザインを選ぶことで、紫外線の影響を最小限に抑えられます。
また、曇りの日も油断してはいけません。太陽が出ていなくても、70%もの紫外線が降り注いでいるといわれています。
紫外線対策を習慣化することで、白内障の発症リスク軽減・進行の抑制につながります。



バランスの良い食生活を心がける

栄養不足や偏った食事は、目の健康にも悪影響を及ぼします。抗酸化作用のある栄養素を意識的に摂取しましょう。
特にビタミンCやビタミンE、ルテインなどの栄養素は目の健康維持に欠かせません。
ビタミンCは柑橘類やキウイフルーツ、ブロッコリーなどに多く含まれています。ビタミンEはアーモンドやひまわり油、かぼちゃに豊富に含まれています。
ルテインは緑黄色野菜に含まれており、ほうれん草やケールなどを食事に取り入れることで効果的に摂取可能です。
栄養バランスの良い食生活を続けることで白内障の進行を防ぎ、再発リスクを低減させましょう。



生活習慣を見直す

喫煙や過度な飲酒は体内の酸化ストレスを増大させ、水晶体の劣化を加速させます。
特に喫煙は白内障の発症リスクを最大3倍以上に高めるとされているため、喫煙本数を減らすことや、禁煙することが重要です。
また、十分な睡眠を確保し、目を休める時間をつくることも効果的です。
現代ではスマートフォンやパソコンの使用時間が増え、目に負担がかかりやすくなっています。
目の疲れを軽減するために、長時間にわたる作業の合間に適度な休息を取り入れましょう。
遠くを見ることで緊張を和らげ、目の健康状態を維持する効果があります。
適度な運動も生活習慣の1つとして取り入れると良いでしょう。
血行が促進されることで目の健康に必要な栄養が行き渡りやすくなり、全身の健康維持につながります。



定期的な眼科検診を受ける

白内障は初期段階では自覚症状が少ないため、定期的に眼科検診を受けることが早期発見につながります。
特に40歳を過ぎたら、年に1回は眼科を受診し、目の健康状態を確認しましょう。検診では視力検査や眼底検査、水晶体の濁り具合を調べることで、白内障の兆候を発見できます。
また、糖尿病や高血圧などの白内障のリスクを高める全身疾患がある方は注意が必要です。
定期的な健康管理と眼科検診を組み合わせることで、白内障の進行を防ぎましょう。


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白内障と診断されても手術はしないほうが良い?



白内障と診断された場合でも、すぐに手術が必要なわけではありません。症状や進行スピードに応じて、手術以外の対応も可能です。
ここでは、手術を避けたい方に向けて、進行を遅らせる方法や注意点を紹介します。



【結論】手術しないと完治しない

白内障は進行性の病気であり、自然に治ることはありません。
一度濁った水晶体を元に戻すことは難しいです。
完治するには、濁った水晶体の代わりに人工の眼内レンズを挿入する手術が必要です。
しかし、進行を緩やかにさせ、日常生活に支障が出る時期を遅らせることは可能です。
とはいえ、進行を遅らせるだけなので、異常に眩しい、物が二重に見えるなどの症状が出ます。
日常生活で、事故に遭ったりケガをしたりする前に、手術を検討することがおすすめです。



点眼薬による治療について

「手術には踏み切れない」「まだ日常生活に支障はない」と考えている方は、ひとまず点眼薬による治療でも構いませんが、これによる治療効果はほぼ期待出来ず、自身が白内障であると言う病識を持つための意義が高いと言えます。
処方される点眼薬は主に2種類。グルタチオン製剤とピレノキシン製剤です。



グルタチオン製剤

白内障は、目の水晶体に含まれる「グルタチオン」という物質の低下や、グルタチオンを合成する酵素機能が低下することで発症するとされています。
そのため「グルタチオン製剤」を点眼することで、水晶体のグルタチオンを補給でき、白内障の進行を抑えるとされています。
一日に点眼する回数は、1滴を3~5回ほどです。ただし、点眼回数は白内障の進行レベルによって変わるので、医師の指示に従いましょう。



ピレノキシン製剤

「ピレノキシン製剤」は、水晶体の透明性を維持する点眼薬です。
眼の水晶体に含まれるアミノ酸の代謝異常によって発生する「キノイド物質」は、目の水晶体にあるタンパク質を変性させる作用があります。
キノイド物質によって変性したタンパク質こそが、白内障の原因の1つです。
ピレノキシン製剤にはキノイド物質の作用を弱める効果があるため、白内障の進行抑止に効果があるとされています。


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完治させるためには手術が必須

白内障が進行し、日常生活に支障が出る場合は手術が必須です。
繰り返しますが、一度濁ってしまった水晶体を透明な状態に戻すことは、物理的に不可能です。手術によって、人工の眼内レンズを挿入する方法しかありません。
手術は、症状の進行具合や日常生活への影響を考慮して行います。以下のような状況であれば、手術を検討したほうが良いでしょう。

  • 視力が低下し、日常生活に支障が出ている
  • 眼鏡やコンタクトレンズでも視力が改善しない
  • 仕事や運転に支障がある

手術と聞くと、何日もかけて行う大掛かりなイメージがあるかもしれません。
ですが、現在は日帰りで白内障の手術を受けることも可能です。
具体的な手術の手順としては、白内障によって濁った水晶体を除去し、人工の水晶体(眼内レンズ)を目の中に取りつけます。局所麻酔を使用するため、痛みはありません。


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まとめ|白内障の原因を知り、できることから予防しよう

白内障は加齢だけでなく、紫外線やブルーライト、生活習慣などさまざまな要因によって引き起こされます。
若者にも増えているため、進行を遅らせる対策をして早いうちから予防することが重要です。
目の健康は日々の積み重ねで良好に保つことができます。
紫外線対策や栄養バランスの摂れた食事、目を酷使しない習慣を取り入れることで、白内障の進行を防げます。
もし、医療機関で白内障の診断をされた場合も、まずは自分に合った対策や生活習慣の改善を行いましょう。
早期の気づきと行動が、将来の視力を守る鍵です。

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