白内障は加齢とともに誰にでも起こりうる目の病気です。
「最近、視界がぼやける」「光がまぶしく感じる」といった症状に悩んでいませんか?
市販の白内障用目薬に効果を期待する人も多いですが、実は根本的な治療にはなりません。
本記事では、白内障の進行メカニズムや市販薬の限界、そして唯一の治療法である手術について詳しく解説します。
大切な眼の健康を守るために今できることを知り、正しい判断ができるようにしましょう。
目次
白内障に効く目薬とは?市販薬の効果と限界
白内障は、視界のかすみやぼやけを引き起こす進行性の病気です。
市販の目薬には有効成分が含まれていると謳っていますが、根本的な治療はできません。
ここでは、白内障の症状や市販薬の仕組みについて解説します。
白内障の症状と進行の現実
白内障は加齢とともに進行し、水晶体が濁ることで視力が低下する眼の疾患です。
初期の段階では違和感が少なく、気づかない人もいますが、進行すると日常生活に支障をきたします。
最近、新聞や本の文字がかすんで読みにくい、階段や段差が見えにくくて頻繁につまづくといった経験はありませんか?
実は、モノが見えにくいなどの症状で白内障を疑い、治療目的で目薬を使用する方は多いです。
たしかに、白内障用の目薬で進行が遅らせられているケースもありますが、根本的な治療にはなりません。
また、進行の遅れが点眼の効果か否かも確証は取れないのが実情です。
なぜなら、一度濁ってしまった水晶体をもとに戻すことはできないからです。
もとの透明な水晶体に戻す方法は、濁った水晶体を除去し、代わりに人工のレンズを挿入する「白内障手術」以外にはありません。
市販の白内障用目薬の仕組みと限界
白内障用の市販目薬には、ピレノキシンやグルタチオンといった有効成分が含まれています。
ピレノキシンは水晶体のたんぱく質変性を抑える働きがあり、グルタチオンは抗酸化作用によって細胞の酸化を防ぐ役割を持っています。
2つの成分の働きによって、水晶体の濁りが進行するのを遅らせる可能性は否定できません。
しかし、先述したとおり、濁ってしまった水晶体を透明な状態に戻す効果はないのです。
私自身、患者さんの話を聞くなかで、市販の白内障用の目薬を使用しても「効果を感じなかった」という声は少なくありません。
まれに当院でこの種の点眼薬を処方することもありますが、これは、ご自身が白内障であると言う病識を持って頂くためのコミュニケーションツールとしての意味合いの方が大きいです。
市販薬を使う際は、過度な期待を持たず、まずは信頼できる医師の診断を受けましょう。
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白内障の根本原因とは?進行メカニズムを理解しよう
白内障は水晶体が濁ることで視力が低下する病気です。
では、なぜ透明な水晶体が濁ってしまうのでしょうか。
ここでは、白内障が発生する原因と目薬では治せない理由について解説します。
なぜ白内障は起こるのか?
白内障の主な原因は、加齢による水晶体の変性です。
水晶体は透明な組織ですが、年齢とともに内部のたんぱく質が変化し、濁りが生じます。
濁りによって光が正常に通過できなくなり、視界がかすむようになるのです。
白内障になるそのほかの要因として、紫外線や糖尿病、喫煙なども挙げられます。
紫外線を多く浴びると水晶体の酸化が進み、白内障の発症リスクが高まります。
糖尿病も、白内障の危険因子の一つです。血糖値が高い状態が続くと水晶体の代謝が乱れ、濁りが早まることがあります。
喫煙も、有害物質による酸化ストレスが白内障の進行を加速させるとされています。
目薬では治せない理由
さきほども解説したとおり、白内障を根本的に治療するためには、手術が唯一の選択肢です。自己判断で目薬に頼り続けると、白内障が進行し視力が大幅に低下する恐れがあります。
病院での診断を受けることで、現在の進行度を正しく把握でき、適切な治療のタイミングを見極められます。
視力の低下によって、事故に遭ったりケガをしたりしてからでは遅いです。日常生活に支障が出る前に、早めに眼科を受診しましょう。
白内障を治す唯一の方法は手術!その選択肢と安全性
白内障は、目薬や生活習慣の改善では治すことはできません。
視力を回復させる唯一の方法は、手術によって濁った水晶体を取り除くことです。
ここでは、白内障手術の基本的な仕組みや最新技術、選択肢について解説します。
白内障手術の基本と最新技術
白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、代わりに人工レンズを挿入する手術です。
超音波で水晶体を砕いて吸引する方法が一般的で、手術時間は10〜20分程度と短時間で完了します。
局所麻酔で行われるため、痛みはほとんどありません。
近年では、術中計測機を用いた手術も登場し、より精密な治療が可能になっています。
また、多くの医療機関で日帰り手術が可能で、入院の必要がないケースがほとんどです。
手術の成功率は非常に高く、9割以上の患者が術後に視力の改善を実感しています。
白内障手術の種類とメリット・デメリット
白内障手術で挿入する人工レンズには、大きく分けて単焦点レンズと多焦点レンズの2種類があります。
単焦点レンズは、遠くか近くのどちらかにピントを合わせるレンズです。保険適用となるため費用を抑えられます。
ただし、どちらかに焦点が集中する特性上、もう一方のものを見るにはメガネが必要になることもあります。
その点、多焦点レンズは遠くと近くの両方にピントが合うため、メガネなしでも生活しやすいです。
ただし、保険適用外のため費用が高くなることや、見え方に慣れるまで時間がかかる人もいることがデメリットです。
ライフスタイルや費用を考慮し、どちらのレンズを選ぶか眼科医と相談しながら決めましょう。
市販薬よりも重要!白内障の進行を遅らせる生活習慣
白内障は加齢によって進行する病気ですが、生活習慣を見直すことで進行を遅らせることができます。
市販の目薬に頼るよりも、日々の食事や紫外線対策を意識することが大切です。
ここでは、目に良い栄養素や健康管理のポイントについて解説します。
目に良い栄養素と食事
白内障の進行を抑えるには、抗酸化作用のある栄養素を積極的に摂取することが重要です。
特に、ルテインやビタミンC、アスタキサンチンは目の健康維持に役立ちます。
ルテインは緑黄色野菜に多く含まれ、紫外線やブルーライトから目を守る働きがあります。
ビタミンCは水晶体の酸化を防ぎ、柑橘類やブロッコリーに豊富です。
アスタキサンチンは強い抗酸化作用を持ち、鮭やエビなどの赤い食材に多く含まれています。
サプリメントも補助的に活用できますが、過剰摂取には注意が必要です。
普段の食生活を見直し、目に良い栄養をしっかりと摂るようにしましょう。
紫外線対策と目の健康管理
紫外線は白内障の進行を早める原因のひとつです。
そのため、外出時にはUVカット効果のあるサングラスや帽子を活用しましょう。室内でも、適切な明るさの照明を使うことで目への負担を軽減できます。
また、初期の白内障は自覚症状がない場合が多いです。早期発見のためにも、定期的な眼科検診を受けましょう。年に一度は眼科で検査を受けることをおすすめします。
目薬だけに頼るのではなく、食事や紫外線対策を実践し、目を守る工夫を続けましょう。
医師が語る!白内障治療の正しいステップ
白内障は進行性の病気のため、適切なタイミングで治療を受けることが大切です。
自己判断で市販薬に頼るのではなく、早めに眼科を受診し、専門医と相談することが視力を守ることに繋がります。
ここでは、受診のタイミングや手術の判断基準について詳しく解説します。
自己判断せずに受診すべきタイミング
白内障は初期の段階では自覚症状が少ないことが多いですが、視界がぼやける、光がまぶしく感じる、暗い場所で見えにくいなどの変化を感じたら早めに眼科を受診しましょう。
特に運転や読書に支障を感じるようになったら、すぐに専門医の診断を受けることをおすすめします。
また、市販の白内障用目薬を使うまえに、まずは医師の診察を受けましょう。
白内障の進行を完全に止める目薬はなく、自己判断で治療を先延ばしにすると症状が悪化したり、手術の難度が上がったりする恐れがあるからです。
適切な診断を受け、日常生活に支障が出るまえに対策することが大切です。
手術を受けるべきか?医師と相談するポイント
白内障は手術によってのみ根本的な治療が可能ですが、手術のタイミングは人によって異なります。
医師と相談する際は、視力の低下が日常生活にどの程度影響しているかを伝えることが重要です。
仕事や趣味に支障が出ている場合は、手術を検討するタイミングかもしれません。
また、手術を受ける病院選びも慎重に行いましょう。医師の説明が丁寧かどうか、最新の手術設備が整っているか、手術を執刀する医師が常駐しているかなども重要なのはもちろんですが、白内障手術に関する講演・論文実績も豊富な(=白内障手術の専門家として、同業者からの評価が高い)クリニックを選ぶと安心です。
根拠無く「熟練した」「経験豊富な」とだけの記載には注意が必要で、最も危険なのは、ホームページに「医師を招聘して」とある施設です。
まとめ
白内障の市販薬は進行を遅らせる可能性があるものの、根本的な治療にはなりません。
濁った水晶体を透明に戻すことは不可能であり、最終的には手術が唯一の治療法となります。
そのため、進行を遅らせる努力を続けるよりも、適切な時期に手術を受けることが視力を守る最善策といえます。
白内障の症状に気づいたら、まずは眼科を受診し、医師の診断を受けることが大切です。
視力の低下が生活に支障をきたす前に、白内障手術の専門医と相談しながら適切な治療のタイミングを見極めましょう。