ICL手術は、安全性が高い視力矯正法として注目されています。
一方で「ICLはやめた方がいい」という否定的な声もしばしば見受けられます。
この記事では、ICLはやめた方がいいといわれる理由や、向いていない人の特徴について解説します。
目次
そもそもICL手術とは?
ICL手術とは、コンタクトレンズと同じく、光を屈折させて視力を矯正する役割を持つレンズを眼の表面ではなく眼内に挿入し、視力を矯正する手術です。角膜を削らずに視力を回復できるため、レーシックに不安を感じる方にも選ばれています。
挿入した眼内レンズは取り外しも可能で、将来的な視力変化や老眼の進行に合わせた柔軟な対応が可能です。また、乾燥感や角膜への負担が少ないのも特徴です。
手術は短時間で終了し、回復も比較的早いため、仕事や育児で忙しい方にも適しています。ICL手術についての詳しい情報は、以下の動画でも解説しています。ぜひチェックしてみてください。
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アイシーエル手術とは?レーシックとの違いやメリット・デメリットを徹底解説なぜ「ICLはやめた方がいい」といわれるのか
ICLは比較的安全性の高い手術として知られています。しかしその一方で「やめた方がいい」という情報がYouTube等で散見されます。眼科医から発信されるそれらの多くは、ICLの認定を持っていない(認定を取れなかった)眼科医からの発信であることを、先ず頭に入れておく必要があります。
その上で、ここでは、その理由を解説します。
高額な費用がかかる
ICL手術は、眼鏡やコンタクトレンズと比べて圧倒的に高額です。
例えば、眼鏡の購入費は数千〜数万円程度、コンタクトレンズも一年あたり数万円で済むことが多いです。
それに対して、ICLの費用相場は片目で30万円から40万円、両目では60万円程度です。
さらに術後に検査が必要になると、追加で費用がかかることもあります。
また、ICLは自由診療のため、健康保険が適用されません。
一方で、ICLは一度レンズを入れれば基本的に一生使えるため、眼鏡やコンタクトのように定期的な買い替えが不要です。
そのため、長期的に見れば眼鏡やコンタクトよりもコストを抑えられます。
医療費控除や医療ローンを活用して負担を分散させる方法もあるため、費用だけでなく長期的なメリットも加味して総合的に判断することが大切です。
合併症や後遺症のリスクがある
確率は低いものの、ICL手術は術後にレンズが回転して視界がぼやける、角膜内皮細胞が減少する、眼圧が上がって緑内障のような症状が出るなどのリスクがあります。
また、暗い場所で光がにじんで見える「ハロー」や「グレア」といった症状が続く場合もあります。
医療行為である以上、リスクを完全に排除できない点が「やめた方が良い」といわれる要因の一つです。
老眼年齢では老眼は回避できない
ICL手術では近視や乱視を矯正することは可能ですが、加齢による老眼を防ぐことはできません。
40代以降になると手元が見えにくくなり、老眼鏡が必要になるケースもありますが、これはICL手術を受けていて設けてなくても同じです。
また、将来的に白内障や他の目の病気が出た場合も、ICL手術を受けている、受けていないに関わらず。手術が必要です。
一度ICL手術をすれば、他の疾患の手術も回避できるわけではありません。
ICLに向かない・注意が必要な人の特徴
視力矯正においてICLは多くの人に有効な手段ですが、すべての人に向いているわけではありません。
体質や既往歴によって手術適応外となったり、慎重な判断が求められることもあります。
ここでは、特に注意したいケースを解説します。
重度の糖尿病やアトピーなど全身疾患がある場合
重度の糖尿病や重症のアトピーなどの全身疾患があると、創傷治癒力が低下し術後の合併症リスクが高まります。これらの疾患を抱えている場合は、必ず主治医と相談してください。
重度の緑内障や白内障がある場合
重度の緑内障がある方は、ICL手術の適応外となる場合があります。ただし、ICL手術後に緑内障を発症した場合も、ICL手術を受けていない患者さんと同じように、緑内障治療を受けることが可能です。
白内障が既に発症している方は、白内障手術で近視矯正をする方が得策な場合があります。ICL手術・白内障手術の両方に詳しい医師に相談するとよいでしょう。
事前の診察で適応可否を確認し、他の視力矯正方法も検討することが大切です。
重度のドライアイがある場合
重度のドライアイも術後の回復に影響を及ぼすことがあります。ドライアイ特有の症状である涙液不足により、術後の不快感が続く、あるいは、視力回復が少し遅れるケースがあるからです。ただ、このドライアイに関しては、コンタクトレンズの装用や、LASIKよりも有利であることは間違いありません。
また、適切な治療でドライアイの改善を図りつつ手術を行うことで、術後も良い状態を保つことは可能です。
アレルギー症状が強い場合
花粉症やアレルギー性結膜炎などの症状が極端に強い場合、手術後に目をこするリスクが高くなります。術後の感染症や炎症の原因となるため、アレルギー症状が落ち着いた状態での手術が望ましいですが、通常、術後の点眼薬にステロイド剤を入れるため、アレルギー症状も低減するケースも多いです。こうして手術直後の時期を乗り越えれば、コンタクトレンズを使っていたときよりも、アレルギー症状は確実に楽になります。
妊娠中・授乳中である
以前は、ホルモンバランスの影響で角膜の形が変化し、検査結果を乱す可能性があるため、妊娠や授乳期間中の手術は避けるのが望ましいといわれていました。
しかし、実際の臨床現場では、検査に影響が出るほどの変化はほとんど確認されていません。
一方で、術中の緊張による血圧上昇や、手術台で仰向けの姿勢をとることが母胎に影響を与える可能性があるので、そのような時期は避けた方が良いでしょう。
ICLとレーシック・眼鏡・コンタクトを比較
視力矯正にはICLだけでなく、レーシックや眼鏡・コンタクトレンズなどさまざまな方法があります。
それぞれメリット・デメリットがあるため、自分の生活スタイルや目の状態に合った方法を選ぶことが大切です。
ここではレーシックや眼鏡・コンタクトレンズとICLの違いを整理し、ICLがどんな人に向いているのかを解説します。
レーシックとの違い
レーシックは角膜を削り屈折力を変えることで視力を矯正する手術です。
一度削った角膜は元には戻せないため、やり直しが難しいというデメリットがあります。
一方、ICLは眼内にレンズを入れる手術であり、将来的にレンズを取り外すことも可能です。
角膜を削らない分、強度近視や角膜が薄い人でも対応できる場合があります。
手術で有る限りは感染症リスクはゼロではありませんが、これはレーシックも同様です。
一方、費用はレーシックより高額になる傾向があります。
眼鏡・コンタクトのメリットとの違い
眼鏡やコンタクトは最も手軽で安全な視力矯正方法です。
手術のようなリスクがなく、短期的に見ると費用面でも負担が少ない点が大きな魅力です。
しかし、重症アレルギー、角膜感染などのリスクは、長期に使用するコンタクトレンズ特有のもので、長期的に見ると費用もICLを上回ることが多いです。
また、度が強いとレンズが厚くなったり、長時間の着用で乾燥や不快感が出るなどのデメリットもあります。
また、スポーツや水泳、旅行などのシーンでは不便さを感じることも多く、より快適な生活を求めてICLを選ぶ人も増えています。
どんな人がICLに向いているのか
ICLは、強度近視で眼鏡やコンタクトに不満がある人に適しています。
また、角膜が薄くレーシックを受けられない人や、将来的にレンズを取り外せる安心感を求める人にも適しています。
逆に、軽度の近視の人や一時的な費用負担が気になる人は、眼鏡やコンタクトがおすすめです。
「どの方法が自分に合っているか」を比較し、医師と相談しながら選択しましょう。
ICL手術で失敗しないためにはクリニックの選び方が重要
ICLは高い技術を必要とする手術のため、どのクリニック・どの医師に依頼するかが非常に重要で、この点では、他の矯正方法とは一線を画します。
ここでは、ICL手術を後悔しないためのクリニック選びと相談する際のポイントを解説します。
医師選びとクリニックのチェックポイント
ICL手術の成功は、医師の経験と技術力に大きく左右されます。
以下のポイントを確認しましょう。
・ICLの症例数が多く、経験豊富な専門医が在籍しているか
・公式サイトに医師のプロフィールや実績が明記されているか
・「経験豊富な」や「専門の医師の」等の曖昧な表現では無くICL手術に関する論文、講演実績があるか。
論文や講演と手術の腕は関係が無いという誤った書き込みが、自称医師の名で散見されますが、論文依頼、講演依頼は技術の高い医師にのみ送られます。
・設備が整っているか、検査が丁寧か、説明に時間をかけてくれるか
・費用の内訳や保証内容が明確か
こうしたポイントを確認することで、後悔しないクリニック選びができます。
術後フォローや相談体制も重視しよう
ICLは手術自体よりも、アフターケアが重要といわれます。
・術後に不安を感じたとき、すぐに相談できる体制があるか
・定期検診のスケジュールが明確か
・万が一の再手術時の対応方針が示されているか
これらを事前に確認しておくことで、術後の不安を最小限に抑えられます。
特に、トラブル対応に誠実なクリニックかどうかは、長く信頼して任せられるか判断する大事なポイントです。
迷っているならカウンセリングを活用
ICL手術に興味はあるけれど、まだ不安が残るという方は、まずはカウンセリングを受けてみましょう。病院によっては、術前検査の前段階でICL相談という予約枠が設けられています。
実際に医師と話すことで、疑問や不安を解消し、自分の目に合った治療法を冷静に判断できます。
カウンセリングを受けたからといって、必ず手術を受けなければならないというわけではないため、まずは気軽に相談してみるのがおすすめです。
まとめ|安心してICL手術を受けるために
ICLは強度近視の人にとって有力な視力矯正手段ですが、すべての人に向いているわけではありません。
費用の高さや合併症リスク、老眼の影響などを踏まえ、慎重に判断する必要があります。
一方で、適応検査を行い、経験豊富な医師のもとで手術を受けた多くの人が満足できる結果を得ています。
重要なのは「自分の目が手術に適しているのか」「費用や将来を見据えて納得できるのか」を確認することです。
信頼できるクリニックで十分に相談し、自分に合った選択をしましょう。
