ICL手術の前には、「適応検査」と呼ばれる検査を受ける必要があります。
「検査って何をするの?」「なぜ検査の何日も前からコンタクトを外す必要があるの?」といった疑問や不安を抱えるのは当然のことです。
この記事では、ICL検査の内容や流れ、コンタクトの使用制限の理由、検査から手術までのスケジュールなどを解説します。
ICL手術を検討中の方はぜひ参考にしてください。
目次
ICL検査とは?|目的と手術前に必要な理由

ICL手術を成功させるためには、事前の「適応検査」が欠かせません。
この検査では、手術が可能かどうかだけでなく、自分に合ったレンズ度数や目の健康状態を調べることができます。
ここでは、ICL手術の基本と検査の重要性について解説します。
ICLはどんな手術?レーシックとの違い
ICL(Implantable Collamer Lens)手術とは、目の中にコンタクトレンズと同じ働きの小さなレンズを挿入し、視力を矯正する屈折矯正手術の一つです。
レーシックとは異なり、角膜を削ることなく視力を矯正できる点が大きな特徴です。
ICLレンズは取り外し可能で、将来の目の状態変化にも柔軟に対応できるというメリットがあります。(ただし,取り外すようなことは滅多にありません)
角膜が薄い人やドライアイの傾向がある人にも適応しやすく、レーシック手術を受けられなかった方がICLを選ぶケースも増えています。
また、術後のコントラスト感度が高く見え方の質が高い、そして夜間の視力が安定しやすいとされる点もICLの魅力の一つです。
角膜を削ることなく視力回復が期待できるため、目の負担やリスクを避けたい方にとってはおすすめの選択肢といえるでしょう。
検査でわかること(適応の可否・レンズ度数・目の状態)
ICLの適応検査では、手術が可能かどうかを判断するために、目の状態を徹底的に調べます。
具体的には視力や屈折度数、角膜の厚みやカーブ、目の奥行き、角膜から水晶体までの距離などです。
また、白内障や緑内障などの眼病の有無、角膜形状の異常、眼圧などもチェックします。
こうした検査データをもとに、医師がICL手術の適応可否を判断し、適切なレンズ度数やサイズを決定します。
なお、検査の結果によっては、ICLではなく他の矯正方法が適していると診断される場合も稀にあります。
そのため、検査は単なる「手術前の準備」だけではなく、「自分に合った視力矯正法を選ぶための診断」としても重要です。
ICL手術の成功には「検査」が重要な理由
ICL手術の成否は「9割が検査の質で決まる」といわれています。
たとえば、ICLが収まる部分の各種サイズにずれがあると、レンズとの相性が悪く、特に乱視の症例などでは術後に視力が安定しないリスクがあります。
また、屈折検査が正確に行われていなければ、適切な度数のレンズを選ぶことはできません。
手術そのものは15〜30分ほどの短時間で終わりますが、その成功を支えるのが,複数回に分けて行われる適応検査なのです。眼鏡やコンタクトはお金を払えば買い換えられますが、手術で眼の中に入れるICLは、当然そういうわけにはいきません。
稀に、ワンデーICLなどと謳って、初診の時に手術まで済ませてしまう、という乱暴な手術を行っている施設もありますが、荒唐無稽な医療です。
検査当日の流れと内容を徹底解説

前章で、ICL適応検査の重要性についてご理解いただけたかと思います。ここでは、初めての方でも安心して受けられるよう、検査当日の流れや注意点を具体的に説明します。
スムーズに検査を受けるためにも、事前に流れを把握しておきましょう。
検査にかかる時間と費用(例:大内雅之アイクリニック)
検査にかかる時間と費用について、当院(大内雅之アイクリニック)を例に解説します。
当院では、ICL手術を受ける前に必要な適応検査を丁寧に行っています。
検査の所要時間はおよそ2時間で、専用機器を用いて複数の項目を丁寧に確認します。
検査費用は10000円(税込)で、ICL手術に進んだ場合はこの費用分が手術費用から全額差し引かれる仕組みです。
具体的な検査内容(屈折・角膜厚・眼圧・瞳孔径など)
適応検査では視力測定だけでなく、以下のような精密な検査が行われます。
・角膜形状解析:角膜の厚みやカーブを測定します。
・前房深度測定(超音波検査):レンズを挿入するスペース(目の奥行き)を確認します。
・角膜径、隅角間距離、その他測定:レンズサイズを決めるうえでの判断材料になります。
これらの検査データはすべて、ICLレンズの度数やサイズ選定、術式の安全性判断に必要な情報です。
なお、コンタクトレンズの使用制限を守っていないと角膜形状が一時的に変化し、正常な検査結果が得られなくなる恐れがあります。
事前の案内を確認し、正しい準備を行いましょう。
検査時の注意点(メイク・服装・サングラス持参)
検査当日は、目の周囲のメイク(アイライン・マスカラ・コンシーラー)は避けましょう。
化粧品が検査機器に付着し、数値に影響を与える恐れがあります。
また、瞳孔を開く「散瞳検査」を受けた場合、数時間にわたって光がまぶしく感じたりピントが合いにくくなることがあります。
そのため、検査後は自動車の運転を避け、電車などの公共交通機関を利用しましょう。
また、帰宅時のまぶしさ対策としてサングラスの持参もおすすめです。
ICL手術におけるコンタクトレンズの使用制限について

ICL検査を受けるにあたって、コンタクトレンズの使用制限は避けて通れません。
「なぜ外すの?」「いつから外すの?」と疑問に感じる方は多いですが、検査精度を高めるために重要なポイントです。
ここでは、使用禁止の理由や期間、守らなかった場合の影響についてくわしく解説します。
なぜ検査前にコンタクトを外さなければいけないのか?
コンタクトレンズは、使用しているだけで目の形や屈折状態に一時的な影響を与えます。
特にハードコンタクトや長時間使用のソフトコンタクトは、角膜の形状をゆがめてしまいます。
その状態で検査を受けると、検査項目が正確に測れず、ICLレンズの度数やサイズ選定に誤差が出るからです。
ICL手術はミクロ単位の精度が求められる治療です。正確な検査を行うためにも、コンタクトレンズの影響を受けない自然な角膜の状態に戻しておくことが重要です。
ソフト・ハードごとの「外す期間」の目安
使用制限の期間はコンタクトの種類によって異なります。
ソフトコンタクトレンズの場合、1週間前、乱視矯正モデルなら2週間
ハードコンタクトレンズは、3週間外して,最終の検査を行います。
ただ、コンタクトレンズを外して検査をするのは二回目の検査時で、初診時には、反対に普段使っているコンタクトレンズ上の見え方を調べることが重要ですので、外しておく必要は無く、眼鏡と共に必ず持参しなければいけません。
普段あまり使っていないものも含めて、コンタクト、眼鏡の両方持参して下さい。
「検査をするのだから、コンタクトは外して行く、コンタクトは必要ない」などと勝手な判断はいけません。必ず予約時の注意事項を全て熟読しなければいけません。
長年ハードレンズを使用している方は、角膜が元の形状に戻るまでにさらに時間がかかることもあり、医師から個別の指示が出るケースもあります。
検査精度を高め、手術の安全性を確保するためにも、指示された使用制限は必ず守りましょう。
検査後に再使用していいタイミング
検査が終わった後は、多くの場合当日からコンタクトレンズの再使用が可能です。
ただし、散瞳検査を行った場合、数時間〜半日ほど視界がぼやけたり光がまぶしく感じます。
検査当日は眼鏡も必ず持参しておきましょう。
コンタクト使用制限を守らなかった場合のリスク
使用制限を守らずに検査を受けてしまうと、レンズ度数やサイズを決めるためのデータが不正確になる恐れがあります。
誤った情報に基づいてレンズのスペックを決めると、手術後に視力が安定しなかったり、再手術が必要になったりする可能性も否定できません。
また、角膜の変形が残っていた場合は、手術そのものが延期になるケースもあります。
手術を成功させるためにも、コンタクトの使用制限は「守らなければならない重要な準備」であることを理解しておきましょう。
そして、そのコンタクトレンズと眼鏡を必ず持参することも非常に大切です。これを忘れるとせっかく予約していったのに、出直さなければならなくなります。
ICL検査後から手術までの流れと準備

ICL検査を終えた後は、いよいよ手術に向けた準備段階に入ります。
この期間は、レンズの手配や追加の診察など、手術の成功に関わる重要なステップでもあります。
安心して当日を迎えるために、検査後から手術日までの流れをきちんと把握しておきましょう。
レンズ注文〜手術までの期間(通常2〜4週間)
ICL検査で手術適応と診断されると、患者一人ひとりに合ったサイズと度数のICLレンズが発注されます。
ICLレンズは海外からの取り寄せとなることもあるため、納品まで通常2〜4週間かかる場合もあります。
そのため、検査からすぐに手術が受けられるわけではないことを理解しておきましょう。
再検査・問診・術前の注意事項
術前には点眼薬の指導や、術後の過ごし方についての説明があります。
不安や疑問を残さないよう、気になることは積極的に質問することがおすすめです。
保護メガネ・当日持参物などの術前準備チェックリスト
手術当日は散瞳や麻酔を行うため、運転はできません。
公共交通機関での来院、車の場合は、帰りに運転してくれる家族の同伴が必要です。
帰宅時の光対策として、サングラスまたは保護メガネの持参がおすすめです。
また、クリニックによっては前開きの服や化粧を控えるなどの指定があるため、事前案内をしっかり確認しておきましょう。
保険証、診察券、同意書、支払いに必要なもの(クレジットカード・現金など)も忘れずに持参してください。
クレジットカードの限度額も確認しておきましょう。同月の他の買い物で限度額を超えてしまい、支払い出来ない場合も時々あるので注意して下さい。
ICL検査・手術前の不安Q&A|リアルな疑問を解決

ICL手術を検討している方の多くが、「痛みはある?」「失敗しない?」といった漠然とした不安を抱えています。
ネット上は体験談や口コミで溢れており、情報が多いため、かえって迷ってしまう方もいらっしゃいます。
ここでは、実際によくある質問をもとに、不安を一つずつ整理しながら解決していきます。
検査は痛い?視力は落ちない?
適応検査では、目に器具を当てたり光を照射したりする場面がありますが、痛みを感じることはほとんどありません。
点眼によって軽くしみる感覚や、散瞳検査後のまぶしさが数時間続くことはありますが、視力が落ちる心配はないので安心してください。
目に触れる検査もありますが、すべて無麻酔で行える程度の刺激であり、医師や検査員が丁寧に説明しながら進めてくれるため、落ち着いて受けられます。
もし痛みや違和感が心配であれば、検査前に医師へ相談しましょう。
失敗例はある?後悔しないためにできることは?
ICLは安全性の高い手術ですが、100%リスクがないわけではありません。
ごく稀には、レンズの度数交換、乱視軸の調整、サイズ交換なども有りますが、これらの多くは安全に行われます。
事前に信頼できる医師,出来ればICL手術のエキスパートインストラクターのもとで丁寧な検査と説明を受け、同じ医師に執刀してもらうことで、後悔せずに済みます。
また、術後の定期検診をきちんと受けることも、良好な視力を保つカギです。
口コミや体験談は信用していいの?
SNSやブログなどでは、「見えるようになった」「後悔した」などさまざまな声が飛び交っています。
体験談は「実際の声」として参考になる一方で、すべてを鵜呑みにするのは危険です。
特にネガティブな情報を見ると不安が増してしまいますが、それらの多くはあなたに当てはまるものではありません。
また、最近は、ICL手術の認定を取れなかった医師によるネガティブキャンペーンもあるので、これら誤情報には注意が必要です。
不安を感じたときは、インターネットの情報よりも、医師の説明をもとに冷静に判断しましょう。
まとめ|ICL検査は「未来の見え方」を決める第一歩
ICL手術を検討する際に最初のステップとなるのが「適応検査」です。
しかし、検査は不安なものではなく、自分の目にとって最善の方法を知る大切な機会です。
視力矯正の第一歩として、重要な工程であることを理解しておきましょう。