医療の真実、医者の舞台裏

2019.03.17

医学部国盗り物語と、地域の専門分野

昨日は、松山に呼ばれて、講演をさせて頂ききました。実は、狭い日本の中でも、地域によって得意な医療の分野に差があり、全て東京のレベルが高い、と言うわけではありません。

この理由は、それぞれの大学の教授に収まった人は、自身の専門領域の研究、臨床に人的配置をして、何年もかけてその分野の専門家を沢山育てるからです。その後、その先生方が地域の様々な病院に勤務する、その地域で開業する、など特定の分野に詳しい先生が増えることになります。そして、教授が退官して次の教授が決まるするときも、その半分くらいは、前の教授の一番弟子、つまり同じ専門分野の先生が就任するので、地域に脈々と、得意分野が定着してゆくのです。

一方、この松山を含む中国四国地方は、古くから白内障手術の聖地と呼ばれるくらい、この手術に熱心な先生の多いエリアなのですが、その成り立ちが特異で、この地域では、ほぼ30年前から、開業の先生方が、この地域のみならず全国の白内障手術をリードしてきたのです。

恐らくその理由は、この地域は歴史の浅い大学医学部が多く、教授選挙の度に関西を中心とした古い大学群の陣取り合戦になっていたため、先ほど説明した、大学教室によって形成される「得意分野」が定着しなかったことがあげられると思います。その中で、たまたま気概のある複数の白内障サージャンが手術医として開業し、企業との協力関係を生かして、大学医局の垣根を越えた切磋琢磨の場を作ってきたことも特筆に値します。大体、私の一回り年上の先生方で、昔も今もこの先輩開業サージャン達に可愛がって頂き、また今のクリニックの基礎も、その先生方に教えて頂いたコンセプトが随所にちりばめられています。

現在、質の高い白内障手術を行っている施設は、きめ細かい検査、執刀医による術前の患者さんとの話し合いと、日帰り手術、と言うのが世界的なトレンドなので、これも、大病院よりも、フットワークの良い開業手術医と相性が良いのでしょう。