院長ブログ(医療の真実、医者の舞台裏)Blog

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家電や車とは違う、眼内レンズは一生もの

白内障手術では、眼内レンズを入れます。その眼内レンズにも、もちろん度数が沢山あって、各患者さんの眼と、その方のライフスタイルを聞き取り、最適な度数を選んで入れます。

それとは別に、乱視の問題。これも非常に大切で、乱視は特殊な例を除いて、残して良い事は1つもありません。なので、白内障手術中に乱視矯正をどれだけキチッと併用するかは、その病院の手術の質を決定づけます。そこで、白内障手術中に、この乱視矯正をしているかどうか、これは手術を受ける前に,担当医に必ずお尋ねしなければいけません。

 

 ところが、この乱視矯正というのが、一番難しく、乱視矯正レンズの度数選択と、さらにそれを眼の中に置く角度を計算する、そして、その意図した角度にキチッと固定する、と、乱視矯正をすると決めた途端に、手術の手順が大幅に増えるのです。当然手術時間も少し余計に掛かります。

 

 先ず最悪なのは、院外の先生がアルバイトで手術をしに来ている場合。こういう医療機関では、まず、きちんと乱視矯正はしていないと考えて良いでしょう。なぜなら、この様なアルバイト医師は、手術一例あたり○万円、というサラリーの契約をしていますから、彼らは出来るだけ短時間で済ませることを一番に考えているからです。手術をするアルバイト医師にとっては、乱視矯正をするなど、同じバイト代で仕事が増えるだけで、しかも、この人達は、術後に患者さんと会うことも無いわけですから、手術患者さんが喜んでるか、不満があるのか、知るよしもないので、なおさらです。さらに、バイト代を払う院長先生にとっても、乱視矯正レンズは納入価が高いのに、手術収入は変わりませんので、あまり熱心に使いませんし、執刀もしない医師が、乱視矯正レンズの手術戦略を、考えられるはずもなく、仮にそう言う気持ちがあっても、自分が出来ない手術を「やりにきてもらっている」先生に、手間を掛けた手術をお願いすることは、なかなか出来ないもの。術後患者さんを診ることもない医師に、これを丁寧にやれというのが,そもそも無理な話です。

 

冒頭で、乱視矯正をしているかどうか、必ず聞いた方がよい、と書きましたが、「はい、やってます」と答えが返ってきても、それだけでは半分しか答えになっていません。「どのようにそれを合わせてますか?」と聞きましょう。ここで、訝しげな顔をされたら、乱視矯正レンズの軸合わせが難しいことすら分かっていない先生なので、止めた方が良いでしょう。

 

 私のように、術中収差計を使って、手術中に検査をしながら眼内レンズを合わせろ、とまでは言わなくとも、アナログな手法であっても、自身のルーティン(=手順)を持って,手術に取り入れている、そんな医療施設で、眼内レンズ手術を受けなければ結果は出ません。

 

 眼鏡やコンタクトは気に入らなければ,お金を出せば買い換えられます。でも、眼内レンズは一度入れたら、一生使うものです。

 

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