医療の真実、医者の舞台裏

2019.02.02

難症例と手術合併症の話

手術は上手くいって当たり前、殆どの患者さんが、そう思っていらっしゃると思います。僕たちが飛行機に乗ったら「無事に到着して当たり前」と思っているのと同じでしょう。
しかし、飛行には、滑走路でのちょっとしたアクシデント、気流の乱れ、その他、気象条件をはじめ上空での予期せぬコンディションの変化など、実際には、僕たちの知らないところで様々な出来事と遭遇し、それらに適切に対応しながら、目的地に運行されているのです。

手術も同じで、患者さんそれぞれの眼球、付属器(瞼など、眼球の周囲組織)の特徴は異なりますし、特に白内障手術のように、眼球内で水の流れを作りながら水晶体を砕いて吸って器械で小さく丸めた眼内レンズを開くなどの複雑な作業をしていると、それらが思いがけない挙動を示すこともあります。
多くの経験を持つ医師は、あらかじめ頭の中に、それらのパターンを入れてあって、自分の引き出しの中から、目の前の変化に対応する策を打っていきながら、手術を遂行しています。

今日の学会のお仕事二つ目は、このような、「術中、術後に起こりうる、難しい状況に、如何に対峙するか、そのテクニックと考え方」をレクチャーするセッションでの講演でした。その名も「理論を知れば怖くない、白内障手術の思わぬ落とし穴」です。

やはり、多くの眼科医達が、この部分に興味がある(つまり、手術中に、困ることが多々ある)のか、大きな会場が満席でした。恐らく、自分の医院を休診にして、学びに来てくれた先生も多いと思います。
皆さんが受けられる手術医療は、こうした、術者達の真剣な向上心、向学心の上に、(一見)ごく自然に成り立っているんだ、と言う事を、今日はお伝えできれば幸いです。