院長ブログ(医療の真実、医者の舞台裏)

2019.06.02

テストドライバー医師とは?

今日は特別に、ちょっと内緒のお話です。

この写真、何をしていると思いますか?場所は、当院内の待合スペースに特設した実験テーブルです。そして画面に映っているのは、人の眼、ではなく豚の眼(豚眼)です。

 

私たちが使う新しい手術器具や手術材料は、厚生労働省の認可を受けた後も、市場に出る(つまり、全ての医師が導入できるようになる)前に、一部の医師によって、まず、その器具の特徴、使い方のコツなどを検証されます。いわば、車のニューモデル発売前に乗るテストドライバーです。

 

 その手術や技術に詳しい医師が、先ず自分たちの患者さんに使ってみて、その注意点、コツ、改良すべき点が有れば、それを指摘して、正式発売までに直してゆきます。 しかし、それを任された医師は、国内で初めて使う術者になるわけですから、誰からも、使用上の注意点などを教わることが出来ません。そこで、臨床使用(実際の患者さんに使う)前に、その企業の研究室などに出向いて使ってみます。眼科手術の場合は、豚眼という、練習にピッタリのものが手に入りますので、それを人の顔の形をした模型にはめ込んで手術してみるわけです。

 

 今回は、正式発売まで時間が無い、と言うことで、私のクリニックまで、大きな機材を持ち込んで、その検証をしていました。わたしが術衣を着ているのは、豚さんの眼を手術するためにわざわざ着用した・・・のではなく、クリニックでの手術が終了してから、すぐにこの仕事に取りかかった(つまり着替える時間が無かった)からです。顕微鏡映像だけでなく、手元の動きにもコツがあるので、カメラを設置して、私の指や手首の動きを捉えています。

 

 医療の世界では、ドラッグラグ、デバイスラグと言う言葉があるように、日本の役所は、欧州や米国のそれと比べて許認可に時間がかかり、患者さんが、実際に新しい薬剤や製品の恩恵を受けられるまで時間がかかることが指摘されていますが、認可後の企業努力、そして協力医師の一端を、今日はご紹介しました。