院長ブログ(医療の真実、医者の舞台裏)Blog

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間違わないで下さい。一人医師体制の産婦人科医院での出産も安全です

先日の新聞に、妊産婦の方に著しい誤解と不安を与えかねない、気になる記事が出ていたので、医療人として一言コメントいたします。

内容は、京田辺市の産婦人科医院で起きた医療事故で医療訴訟が持ち上がっている、と言う記事なのですが、問題なのは、それと関連して、原告のロシア人の母親が寄せた手記を、内容を吟味せずにそのまま掲載されている部分です。

 

 そこには、「医師一人体制の医療機関での出産は危険である。こうした施設でのお産を認めている日本は間違っている」と断定した「個人の感想文」が大きな見出しとともに、ニュースとも取れる記事になっています。

ロシアの医療が日本より優れているという話は聞いたことがありませんし、実際に国際学会に毎年参加している私は、ロシアからの優れた発表を殆ど見たことがありません。ちなみに、2018年のWHO統計では、ロシアの新生児死亡率は日本の約5倍です(下記リンクの順位118と167をご覧下さい)。https://memorva.jp/ranking/unfpa/who_whs_maternal_mortality_rate.php

 私の友人を含め、適切な設備とスタッフと共に、周辺機関との連携を取りながら、優れた医療を展開している産婦人科医院は、京都には沢山あります。むしろ、優れた技術を持っているからこそ、独立開業して、手術やお産を扱っているのです。

私の二人の子供も、優れた産婦人科医1名体制のクリニックで生まれました。

もしこの方の仰るとおり、小規模の産婦人科医院が日本から消えたら、不幸なお産難民がどれだけ生まれるか、地獄絵図です。

 

聡明な方ならお感じになると思いますが、今回の事件では、提訴された医院側の手技に問題があったとしても、そこから「産婦人科医一人体制の医療機関は危険」という短絡的な記述は、実際の日本の医療水準や実績を調べることなく、きわめて感情的で極端な感想に過ぎず、善良な日本の医療に余計な混乱を招くことを、一切考慮されていません。

 

この手記が、きっちりと吟味されることなくそのまま紙上に載せられてしまった理由としては、定期的にセンセーショナルな記事を載せて評価されなければ出世できない、というマスコミ社内での事情も大いに関係しているとは言え、鵜呑みにしてしまう読者がいることも、冷静に判断して欲しかったものです。

 

 

日本は、高度に文明や文化の発達した先進国ですから、可哀相な人がいる=誰か悪い人がいる、という貧しい発想を、メディアも含めて、そろそろ卒業しなければいけません。

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