日頃は、手術を執刀してばかりの私ですが、実は三年前、手術を2度受けました。
半月板損傷と右肘関節、いずれも、趣味のテニスと当時凝っていた下手なゴルフが原因の膝、肘の故障です。
手術患者になって一番に望んだことは、やはり「綺麗に治して欲しい」ということと、ダウンタイムの短さ、つまり早期の復帰でした。特に,私のように仕事を持っている社会的な生産性を持つものとしては,切実な問題です。そして、このことは、我々、白内障屈折手術の世界では、ずっと前から唄われている概念で、今も益々加速しています。改めて、当たり前のようにそれを追求している自分たちの仕事が、医学の中でも、とっても貴重である事を実感した次第でした。
一方、自分の受けたいずれの手術でも、術後2日で退院し、その日から自分で車の運転もして、日常生活は直ぐに復帰できましたし、仕事も、外来診療は3日目から、手術は5日目から可能でした。
写真上は、膝手術翌日の退院時、像のように脚が浮腫んでいますが、一月も経てば、下のように、元通りです。
小切開低侵襲を目指してきた関節鏡手術の技術に感謝。これも、我々の白内障手術同様、整形外科医、関連産業の努力と工夫の積み重ねのお陰です。そして、そこには、過去のデータと闊達な討論が不可欠だったことを忘れてはいけません。
しかし昨今、医学、特に臨床研究の場では、様々な縛りが増え、かつてのようなスピード感を持った研究が進めにくくなっています。
一方、私がして頂いた、膝、肘の関節鏡手術も、過去の精力的な臨床研究があったからこそ、可能になったわけですから、もしその時、その研究を遅らせるような力が働いていたら、私は患者として許せなかったでしょう。
だから私なら、自分の手術ビデオ、臨床データ、切除切片など、後進と教育の為なら是非、有益に使って頂きたい。なぜなら、自分は医学の進歩の恩恵を受けたのに、自分は未来の患者さんのためにはなりたく無いなんて、僕には考えられないから。
これは、医師:大内としての理解ではなく、患者:大内としての祈りです。