院長ブログ(医療の真実、医者の舞台裏)

2019.07.01

医学系学会と企業セミナーをご存知ですか?

先週末、白内障手術関連の最大の学会、日本白内障屈折手術学会が、行われました。
この学会のために、患者さんにはご不便をおかけしましたが、二日間休診にして、スタッフを連れて行きました。


 さて、一般に学会の中身は様々なセッションに分かれていて、新しい治療や手術成績、将来の医療に続く研究、珍しい、或いは難しい病気の治療経過の報告などが発表される一般講演、一つのテーマについて、複数のその道の研究第一人者が講演・ディスカッションするシンポジウム、手術や検査、診療の進め方を教科書的な手法から一歩進んだものまで解説する教育講演、企業が自社製品の魅力や取り扱い方法を正しく皆に伝える為に設ける企業セミナーなどがあり、それぞれに特色が有ります。
 この学会は、私の最も関係の深い学会で、今回の私の仕事は、多焦点眼内レンズに関する教育講演、難症例、合併症処理に関する教育講演、企業セミナーなど、3日間の間に、5つの講演、2つの座長、その他会議などです。

 
この中で、企業セミナーだけは、学会、学会員で企画構成されるセッションとは異なり、関連企業が企画するもので、時間帯によって、ランチョンセミナー、イブニングセミナーなどとも呼ばれます。大体、お弁当や軽食が(無償で)配られ、聴講者はそれを頬張りながら講演を聴く、と言う少しカジュアルなスタイルですが、概ね学会の中での人気コーナーとなっています。

 でも人気なのは、お弁当が付くからでは無く、最新機器に関する内容が多くを占めることに加え、同じ時間帯に多くの企業がこれを開催しますので、各社とも、自社セミナーに沢山の聴講者を集めるため、講演の面白い人気ドクターを多く登用し、為になるだけでなく、工夫を凝らした企画がされることが理由として挙げられます。

この企業セミナ-では、企業側は自社製品の魅力を大いに(時には、他社のものより優れていると言う点を強調して)伝えたい、という思いがあり、演者とは入念な打ち合わせや、時には「お願い」という名の厳しい注文も入り、最近では、講演前にスライドレビューと言って、演者のスライドがチェックされたりもします。
 しかし、この流れも行き過ぎると、以前問題になったデュオバン事件など、医師と企業の不適切な癒着と取られかねませんし、実際、今の医師達はそのような臭いを、講演からも敏感に感じ取ります。

 私は、聴講される医師達に人気の企業セミナーこそ、共催企業製品のアピールポイントを十分に伝えつつ、聴講者には、確かに役立つ手術技術の伝授など、喜ばれるコンテンツを一つは盛り込む、そして、一度は笑いを取れるよう面白く魅力的な講演を目指して、全力でいつも準備をしています。講演料を頂いているからには、プロの仕事として、スポンサーだけでなく皆に「聴いて良かった」と思って頂ける講演を、いつもご披露したいものです。