院長ブログ(医療の真実、医者の舞台裏)

2020.12.30

「スゴ腕眼科医」の本が、売り上げNo.1! 書店の真実、出版界の舞台裏


 出版本の話が続きますが、発売2ヶ月で、丸善ジュンク堂の京都本店、ノンフィクション部門で週間ランキングの1位を獲りました。賞ではなく売れた数(=単純に結果の発表)ですので、こればかりは「頂いた」と言うより「獲った」と言うべきでしょう。
 となりの、フィクション部門を見ると、第1位が東野圭吾のミステリー小説です。「東野君も上達したな。今度、本の書き方教えてやるか」・・・というのはもちろん冗談で、また、小説とノンフィクションでは、売れる数の桁が、そもそも違います。小説は、日本人なら誰でも知っている人気作家がたくさんいらっしゃって、その中でのランキングになるのに対して、ノンフィクションは、大学教授や経済人など、出版界では無名の人の書くものが多く、どちらかというと、そのトピックが、時流に合っているかどうか、に左右されます。例えば今なら、コロナウィルスのワクチンに関する本が出れば、かなり売れるでしょう。

それでも、僕たちの本が、何故こんなに売れたのか?

 私も出版の素人ですので、確実なお話は出来ませんが、出版社のプロモーションと、時流が、一瞬、化学反応を起こしたのだと思います。なぜなら・・・
 
 ここからが、出版の舞台裏になるのですが、はじめに、本は版元(出版社)から本屋さんに卸されるわけですが、この世界では、版元が、圧倒的に強い立場にあり、特に大手の書店ほど、その意向を汲まなければいけないのです。
 
 私たちが本を求めて書店にゆく時、目当ての本があって、それを手に取ってそのままレジに行く場合もあれば、「次、何読もうかな」「なにか面白い本ないかな」と、出向くときもあります。そこで後者の場合ですが、思い浮かべて下さい。皆さんが本屋さんに言ったとき、無数に並ぶ本、全てを手に取って、おもて表紙やクレジット(帯)を見る事は出来ませんよね。大抵は、平積みされていたり、この写真のように、棚にこちらを向けて陳列してある本に目が向きます。じゃ、どの本を目立つ場所に置くか?タレントの本や、今売れてるベストセラーは、無条件に置かれるでしょう。そして、ここからなのですが、その他には、出版社から「今月の推し」が伝えられて、書店は、それに忖度して商品の並べ方を決めるのです。勿論、大きな出版社の「推し」ほど、より目立つ場所に置かれると思います。

 今回の僕たちの本は、幻冬舎という、大手出版社からの出版で、その中でも、「白内障手術のスペシャリストを全国から複数集めて本を書かせる」という同社としては斬新で力の入った企画でしたので、先ずは各著者の地元有力書店で、しっかり売ってもらいたい、との方針になったようです。そこで、丸善京都本店では、一般向け医学関連のコーナーの中でも、目に付きやすいところにディスプレイしていただいたことが、売れた要因の一つ。
ただ、それだけではNo.1にはなりません。もう一つの要因「時流」です。
 
 コロナ渦に入って、私が強く感じるのは、「一般の方の、病院選びに対する意識が、すごく高まっている」と言うことです。院内感染を恐れて受診控えが強まり、全国の医療機関が患者減にあえいでいる、との報道が多い中、大変申し訳ないのですが、当院はむしろ、手術希望をされていらっしゃる初診患者さんが増えています。それも、遠方からインターネットなどで調べていらっしゃる患者さんが増え、手術件数も昨年比50%増の約1100件を数えました。

つまり、世界的な疫病をきっかけに、皆さんが医学、医療に関して、より真剣に考えるようになった、と言うことです。また、私たち白内障専門医には、お年寄りの患者さんが多いのですが、その息子さん・娘さん達がよく調べて「お父さん、白内障手術なら、ここに行った方が良いよ」という風に、それまで干渉しなかったことを助言するケースも増えているようです。コロナ渦で、白内障のような治療を急がない病気の手術が全国的に控えられていた反動で、そろそろ、我慢も限界、手術を受けよう、という中でタイミング良く出版されたことと、出版社の働きかけが合わさって、僕らのような、作家じゃない人の本が、京都丸善:週間No.1を獲ってしまった、と言うのが、今回の舞台裏でしょう。

 そして、その影響で、大垣書店京都桂川イオン店、旭屋書店京都洛南イオン店など、その他の京都有数の書店も注目して下さり、ポスターまで作って販売に力を入れて下さっています。ありがとうございます。