院長ブログ(医療の真実、医者の舞台裏)

2020.07.09

石原さとみちゃんも推奨(?)スイッチOTCとは。

人気女優の石原さとみさんがCMしている点眼薬、ヒアレインSという目薬があります。今回は、そのお薬に関係した話題です。

ところで、スィッチOTCと言う言葉をご存じでしょうか。OTCとは、over the counter の略でカウンター越し、つまり薬局で買うお薬、と言う意味です。それに対して、病院やクリニックで処方されるお薬はprescription(処方薬)です。スイッチOTCは、病院で医師の診察を受けて、お薬を処方されていた患者さんの中でも、状態が安定して、診察目的が、「変化、異常の発生が無いかを、念のためチェックする」ことに主眼が置かれ、あとは同じ薬の処方をして帰って頂くような状態になったとき、お薬の続きを、薬局で手に入る(ほぼ)同じ成分、(ほぼ)同じ薬効のお薬に切り替えて、受診間隔を開けたり、終診にしたりする、という最近の先進国の考え方です。アレルギー性鼻炎の「アレジオン」、胃潰瘍の「ガスター10」などが有名なところで、高齢化と医療費高騰への対策で、厚生省も、各製薬メーカーに推奨しています。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000127534.html

先の、石原さとみさんの「ヒアレインS」も、我々がドライアイ患者さんに処方する第一選択薬「ヒアレイン」のスイッチOTC薬です。

 また、患者さんにとっても、これにより、軽症疾患の管理が、かなり時間的、場所的に自由度のあるものになるので、当院でも、特にドライアイのお薬に関して、これを勧めています。

 ところが困ったことに、このスイッチOTCのお話をすると、難色を示したり、中には、受付で「先生に、もう来なくて良いと言われた(怒)」などと、文句を言う人がいます。
確かに、この様な軽症疾患の方にも、毎回医療機関で検査をして医師によるチェックをして、診療を継続すると言うのが、理想かも知れませんが、医療資源は、マンパワー(医療従事者の数)や財源にも限りがあります。
やはりこれを、必要度の高い患者さん、高い疾患に振り分けていかなければ、全体が立ちゆかなくなってしまいます。

一方、先ほどの、文句を言う人達が、ふた言目に言うことは、「値段は、同じですか?」「薬局で買ったら、高いでしょ」です。この方達の頭の中には、保険診療で受け取る薬代は、7割もしくは9割が、他人の収めた税金から支払われていると言う事が抜け落ちています。自分の財布から支払うお金が高いか安いか、しか考えられていないわけです。

確かに、病院で出される処方薬とスイッチOTCでは、ご自身で支払う費用は、OTCの方が少し高くなります(実際には、病院会計には付随する検査や、再診料も入るので、その差は小さくなります)。しかし、それで代用できる健康状態の方は、医療財源を、もっと重症疾患の人達に回してあげよう、という考え方を、品格有る日本人には、持ってもらいたいと思うのです。先の不満を言う方だって、美容院や化粧品には、嬉々としてお金をかけているはずです。

髪型やお化粧よりも大切な健康。その自分のお手入れに、きちんとお金をかける、ということを受け入れられる良識、自分の損得だけでなく社会としてのバランス感覚というのは、これから大変重要だと思います。

以前のブログにも書きました。医療と水はただじゃない。https://www.ouchi-eye.com/blog1/1217/

少なくとも私のクリニックにいらっしゃる患者さんには、皆のために、と言う気持ちを共有してもらいたいと思っています。