糖尿病網膜症

糖尿病の合併症として起こる糖尿病網膜症

糖尿病の合併症として起こる糖尿病網膜症糖尿病には「3大合併症」と呼ばれるものがあり、糖尿病網膜症はその1つです(残り2つは、糖尿病腎症、糖尿病神経障害です)。
初期にはほとんど自覚症状が現れないため、受診のタイミングが遅れて進行を許してしまうケースが多いです。
糖尿病と診断されたら、京都市南区の大内雅之アイクリニックまでご相談ください。

糖尿病網膜症の原因は?

糖尿病網膜症の原因は?網膜には多くの毛細血管がありますが、糖尿病の方の血液は糖分を多く含んでいて、粘性が高いため、毛細血管を詰まらせたり、血管の壁(血管壁)に負担をかけたりします。
その結果、網膜で酸素や栄養が不足して、糖尿病網膜症の症状が現れるようになります。

自覚症状があるときには既に進行している!?

糖尿病網膜症は、進行過程によって「単純網膜症」「前増殖網膜症」「増殖網膜症」に分けられます。このうち単純網膜症まではほとんどのケースで自覚症状が現れませんが、前増殖網膜症・増殖網膜症なると視力の低下、時には失明に至るケースも依然、存在します。

糖尿病網膜症には2つの流れがあります

糖尿病網膜症には2つの流れがあります。

糖尿病

  • ①失明に至る可能性の流れ

    単純糖尿病網膜症

    ①失明に至る可能性の流れ・検査のみ

  • ②失明には至らないが日常生活に支障をきたす流れ

    黄斑浮腫

    ・硝子体注射

  • ・増殖前糖尿病網膜症

    増殖前糖尿病網膜症

    ・レーザー治療(日帰り) 3割負担で約36,000~57,000円(片目)

  • 増殖糖尿病網膜症

    増殖糖尿病網膜症

    ・手術(入院、日帰り) 3割負担で約120,000円(片目)

②失明には至らないが日常生活に支障をきたす流れ黄斑浮腫

硝子体注射

①増殖性変化の流れ(失明に至るケースあり)

広い範囲で網膜の毛細血管が詰まり、血流不足に陥り、「新生血管」と呼ばれる悪い血管が生じて、網膜剥離や緑内障などの深刻な合併症を引き起こし、失明に向かっていきます。

最近では、糖尿病網膜症の重大さが広く認知されるようになり、レーザー治療などの効果的な治療方法が確立されたため、以前と比べると増殖網膜症に至るケースは少なくなりましたが、糖尿病網膜症は日本人の中途失明の原因疾患の第2位です。増殖網膜症になると手術が必要になることも多く、それ以前の適切なタイミングで治療を開始するようにしましょう。

②黄斑浮腫の流れ(失明には至らないが日常生活に支障をきたす事が多い)

失明はしないものの、網膜の大事な部分がむくんでしまって、視力が大きく低下してしまいます。増殖網膜症を併発するケースも多く見られますが、網膜全体の病状としてはあまり進んでいなくても、お仕事やお車の運転などの日常生活に支障を来すことがあります。

黄斑浮腫に対する決定的な治療はありませんが、「硝子体注射(眼の中に注射でお薬を入れる方法)」という専門的な治療よってかなり救われる方が出てきています。しかし、比較的新しい治療方法で、その手技に習熟されていない施設で「治療が難しい」「諦めるしかない」と、治療の選択肢を提示されない方も多いようです。
京都市南区の大内雅之アイクリニックではこの硝子体注射を行っていますので、一度ご相談ください。

糖尿病網膜症の治療方法

血糖コントロール

血糖コントロール糖尿病網膜症の治療では、血糖コントロールが基本となります。
かかりつけ医の指導に従って、きちんと管理するようにしましょう。

薬物療法(硝子体注射)

硝子体とは、眼内の大部分を満たす透明なゼリー状の組織のことで、ここに注射で抗VEGF薬を注入して、活動性低下(病気の勢いを鎮める)や、症状の改善をはかります。
薬物療法(硝子体注射)
抗VEGF薬には、網膜の新生血管を消失させる効果があります。

レーザー治療

薬物療法にて十分な効果が得られない場合、レーザー治療を検討します。緑内障の種類によって行うレーザー治療は異なります。

硝子体手術

硝子体手術は、糖尿病網膜症が進行し、硝子体の透明度が落ちて視力の低下、網膜剥離、網膜に異常な増殖膜が作られる場合に手術を検討します。硝子体や増殖膜と共に除去、剥がれた網膜を復位するなどの手術を行います。手術加療が必要と判断した患者様には、当院の広い学術活動で得られたネットワークを活用して、硝子体手術の「第一人者」をご紹介させていただきます。

糖尿病網膜症のQ&A

糖尿病が改善したら糖尿病網膜症は治りますか?

糖尿病網膜症のうち、単純網膜症の段階であれば、糖尿病治療の効果で、網膜症も改善する場合があります。しかしそれ以上進行してしまうと、その可能性は低いと言わざるを得ません。しかし、糖尿病の病状が悪いと眼科での治療効果もさらに落ちてしまいますので、糖尿病コントロールの努力は大切になります。

進行してしまうと完全な視力回復は難しいのでしょうか?

進行すると完全な視力回復は難しくなります。そのため、早期発見・早期治療が重要となります。

治療費はどのくらいかかるのでしょうか?

糖尿病網膜症の治療のうち、レーザー治療は3割負担の方で約36,000~57,000円(片眼)です。一方、それ以上の加療(入院・手術)が必要になると、3割負担で約120,000円(片眼)となります。このように、病状が進行して治療が後手に回るとより高額な治療が必要となりますので、できるだけ早く治療を開始するようにしましょう。

すでに進行しているにもかかわらず、費用が心配で治療に踏み切れない方も見受けられますが、「高額療養費制度(1ヶ月に支払った自己負担額が限度額を超えた場合、超えた分が払い戻される制度)」などもありますので、治療が遅れないためにも、一度お調べ頂くことをお勧めします。

硝子体注射は安全でしょうか?

瞼や眼の表面では無く、眼球の中に針を進めて薬剤を投与する治療ですが、日頃、眼内の手術を行っている医師による施術であれば、安全性は極めて高いと言えます。ただし、注射後の感染や異常な炎症などの確認と対応が必要ですので、翌日、施術者自身による診察が可能な施設で行われることが条件です。